チャートだけを見ていても、突然の急変動に巻き込まれることがあります。「なぜ今、動いたのか」を理解するには、チャートの外側にある情報を読む力が必要です。それがファンダメンタルズ分析です。
この記事では、FX初心者が最低限押さえるべき経済指標と、その読み方を解説します。
ファンダメンタルズ分析とは?チャートの「外」を読む技術
FXの分析方法は大きく2つあります。過去の値動きから予測する「テクニカル分析」と、経済の状態から予測する「ファンダメンタルズ分析」です。
ファンダメンタルズとは「経済の基礎的条件」という意味です。具体的には、各国が発表する経済指標や金融政策、要人発言などを材料に、通貨の方向性を判断します。
テクニカル分析が「いつ売買するか」を教えてくれるなら、ファンダメンタルズ分析は「どちらに向かうか」を教えてくれます。両方を使い分けることで、トレードの精度は格段に上がります。
まず覚えるべき経済指標は5つだけです
経済指標は数えきれないほど存在します。ですが、初心者が全部を追う必要はありません。まずは以下の5つに集中しましょう。
① 米雇用統計(毎月第1金曜日)
非農業部門雇用者数と失業率が注目されます。アメリカのGDPの約7割は個人消費が占めるため、雇用の増減は景気に直結します。発表直後に1円以上動くこともある、FX最大のイベントです。
② 消費者物価指数(CPI)
物価の変動を示す指標で、インフレの度合いを測ります。CPIが上昇すると中央銀行の利上げ期待が高まり、通貨高に向かいやすくなります。食品とエネルギーを除いた「コアCPI」が特に重視されます。
③ GDP(国内総生産)
その国の経済規模と成長率を示します。速報値・改定値・確報値の3回発表されますが、最も相場が動くのは速報値です。
④ FOMC(連邦公開市場委員会)
アメリカの金融政策を決める会合で、年8回開催されます。政策金利の変更やFRB議長の会見内容が、ドル相場の大きなトレンドを作ります。
⑤ ISM景況指数
企業の購買担当者へのアンケートを基にした景気の先行指標です。50を上回れば好況、下回れば不況と判断できるシンプルさが強みです。
経済指標は「予想 vs 結果」で読みます
経済指標で最も大切なのは、数字の良し悪しそのものではありません。市場の予想と結果のギャップです。
たとえば雇用統計で「予想:+15万人」に対し「結果:+25万人」なら、予想を大幅に上回るポジティブサプライズとなり、ドル買いが加速します。逆に「結果:+16万人」なら、予想とほぼ一致しているため反応は限定的になります。
チェックすべきは次の3つです。
- 予想値:発表前にアナリストが出す数字です。相場はこの予想をすでに「織り込んで」動いています。
- 結果:実際に発表された数字です。予想との差が大きいほど相場は動きます。
- 前回値:前回の数字と比較して改善傾向か悪化傾向かを判断します。
この「織り込み済み」という概念は非常に重要です。悪い数字が予想されていた場合、実際に悪い結果が出ても相場が動かないことがあります。すでに売りが入った後だからです。逆に「悪い予想よりマシだった」という理由で買われることもあります。
金融政策と要人発言がトレンドを作ります
経済指標は短期的なインパクトを与えますが、中長期のトレンドを作るのは金融政策です。
中央銀行が利上げをすると、その国の通貨は買われやすくなります。金利が高い通貨のほうが運用益を得やすいからです。逆に利下げは通貨安の要因になります。
2022〜2023年のドル円相場が歴史的な円安になったのは、アメリカが急速な利上げを続けた一方、日本は低金利を維持したことが最大の要因でした。この「金利差」こそ、ファンダメンタルズ分析の核心です。
また、FRB議長や日銀総裁などの要人発言も見逃せません。「利上げを検討している」といった一言だけで、相場が大きく動くことは珍しくありません。
初心者向け|経済指標カレンダーの活用法
「そんなに覚えられない」と感じるかもしれません。ですが、実践ではシンプルなルーティンで十分対応できます。
週の始めにやること:
FX会社が無料提供している経済指標カレンダーを開き、その週の重要指標(★3つや「SS」ランクのもの)を確認します。重要指標の発表日時をメモしておくだけで、不意の急変動を避けられます。
指標発表前にやること:
予想値を確認し、ポジションを持っている場合は決済するか、損切りラインを確認します。慣れないうちは、重要指標の発表前後30分はトレードを避けるのが安全です。
指標発表後にやること:
結果を確認し、予想との差を見ます。大きなサプライズがあった場合、その方向に数日間トレンドが続くことがあります。すぐに飛び乗るのではなく、落ち着いてからエントリーを検討しましょう。
まずはデモトレードで、雇用統計やFOMCの発表前後にチャートがどう動くかを観察してみてください。「なぜ動いたか」がわかると、トレードの世界が一気に広がります。
よくある質問
Q. ファンダメンタルズ分析だけでトレードできますか?
短期トレードには向きません。ファンダメンタルズ分析は「方向性」を判断するもので、エントリーのタイミングはテクニカル分析で補うのが基本です。両方を組み合わせることで精度が上がります。
Q. 経済指標は全部チェックすべきですか?
その必要はありません。まずは米雇用統計・CPI・FOMCの3つだけ追えば十分です。慣れてきたらGDPやISMにも目を広げましょう。
Q. 情報収集はどこでやればいいですか?
FX会社の経済指標カレンダーとニュース配信が最も手軽で正確です。口座を開設すれば無料で使えます。SNSの情報は速報性がある反面、誤情報も多いので注意が必要です。
まとめ
ファンダメンタルズ分析は、相場が「なぜ動くのか」を理解するための土台です。すべてを完璧に理解する必要はありません。まずは雇用統計・CPI・FOMCの3つを経済指標カレンダーで追うことから始めましょう。
テクニカル分析でチャートを読み、ファンダメンタルズ分析で方向性を掴みます。この2つが揃ったとき、トレードの判断に自信が持てるようになります。
デモトレードで経済指標発表時の値動きを体感しながら、少しずつ分析の精度を高めていきましょう。