FXのレバレッジとは?初心者向けにリスクと計算方法を解説

FXの最大の特徴はレバレッジです。少ない資金で大きな取引ができる仕組みで、「10万円の元手で250万円分の取引ができる」と聞くと驚くかもしれません。

レバレッジとは英語で「てこの原理」のこと。小さな力で重いものを動かすてこのように、FXでは証拠金(担保として預けるお金)の最大25倍の取引が可能です。株式投資の信用取引(最大約3.3倍)と比べても、資金効率の高さは際立っています。

ただし、利益が大きくなる可能性がある反面、損失も同じ倍率で膨らむ——これがレバレッジの「両刃の剣」たる所以です。この仕組みを正しく理解しないまま取引すると、思わぬ損失につながりかねません。

この記事では、レバレッジの仕組み・計算方法・初心者が安全に使うためのコツを、具体的な数字を交えて解説します。

レバレッジの仕組み——なぜ少額で大きな取引ができるのか

FXは「差金決済」という仕組みで成り立っています。通貨そのものを受け渡すのではなく、売買の差額(損益)だけをやり取りする取引です。

たとえば1ドル=155円のとき1万ドルを買い、156円で売った場合、受け渡すのは155万円ではなく利益の1万円だけ。この仕組みがあるからこそ、取引金額の全額を用意する必要がなく、「証拠金」という担保を預けるだけで取引できるのです。

国内のFX会社では、金融庁の規制により個人口座の最大レバレッジは25倍と定められています。これは「取引金額の4%(25分の1)の証拠金があれば取引できる」という意味です。

かつてはレバレッジに上限がなく、100倍〜400倍という取引が可能でした。しかし、高レバレッジで破産する投資家が続出したため、投資家保護の観点から2010年に50倍、2011年に現行の25倍へと段階的に規制が強化されました。この規制のおかげで、現在は無茶な取引がしにくい環境が整っています。

レバレッジの計算方法

レバレッジは次の式で求められます。

レバレッジ =(為替レート × 取引数量)÷ 証拠金

ここで重要なのは、レバレッジは自分で「○倍」と直接設定するものではないという点です。多くのFX会社では、口座に入れた証拠金の額と取引数量の関係で自動的に決まります。

具体的に見てみましょう。1ドル=155円のとき、1万通貨(1万ドル)を取引する場合の取引金額は155万円です。

口座の証拠金 レバレッジ 1円の値動きでの損益 耐えられる値幅の目安
155万円 1倍 ±1万円 約155円
62万円 2.5倍 ±1万円 約62円
31万円 5倍 ±1万円 約31円
15.5万円 10倍 ±1万円 約15.5円
6.2万円 25倍 ±1万円 約6.2円

注目してほしいのは「1円の値動きでの損益」がどのレバレッジでも同じ±1万円であること。レバレッジが変わるのは「いくらの証拠金でその取引ができるか」であり、損益の金額はあくまで取引数量で決まります。

つまり、レバレッジを調整するには「取引数量を変える」か「証拠金を増やす(減らす)」の2つしか方法がありません。

「最大レバレッジ」と「実効レバレッジ」の違い

レバレッジには2つの概念があります。この違いを理解することが、安全なトレードの第一歩です。

最大レバレッジは金融庁が定めた上限(個人は25倍)のこと。これは「ここまでかけられる」という天井であり、常に25倍で取引しているわけではありません。

実効レバレッジは、今まさに自分の口座で実際にかかっているレバレッジのこと。口座全体の有効証拠金(口座残高+含み損益)に対して、保有ポジションが何倍になっているかを示します。

たとえば、口座に50万円あり、1ドル=155円で1万通貨を保有している場合、実効レバレッジは155万円÷50万円=約3.1倍。同じ口座で2万通貨に増やすと310万円÷50万円=約6.2倍に跳ね上がります。

多くのFX会社のツールでは実効レバレッジがリアルタイムで表示されるので、取引中はこの数値をこまめに確認する習慣をつけましょう。

レバレッジのメリットとリスク

メリット:少額から始められる

レバレッジ最大の魅力は、少ない資金で取引をスタートできること。たとえば1ドル=155円で1,000通貨を取引する場合、レバレッジなし(1倍)なら15.5万円必要ですが、25倍なら約6,200円で済みます。「まずは数千円から試してみたい」という初心者にとって、FXの間口を広げてくれる仕組みです。

リスク:損失も同じ倍率で拡大する

レバレッジ25倍で取引すると、相場が1%動いただけで証拠金に対して25%の損益が発生します。10万円の証拠金なら、わずか1%の逆行で2.5万円の損失です。

さらに恐いのはロスカット(強制決済)。証拠金維持率が一定水準を下回ると、FX会社がポジションを強制的に決済します。ロスカットは損失の拡大を防ぐ安全装置ですが、相場の急変時にはロスカットが間に合わず、預けた証拠金以上の損失(追証)が発生するケースもゼロではありません。

初心者はレバレッジ何倍がいい?

結論から言うと、初心者は実効レバレッジ3倍以下を目安にしてください。

各社の公式見解を総合すると、初心者への推奨レバレッジは以下のとおりです。

FX会社・情報源 推奨レバレッジ
みんなのFX 3倍程度
SBI FXトレード 2〜3倍、大きくても5倍以内
SMBC日興証券 2〜3倍程度
外為どっとコム 5〜10倍に収まるよう調整
セントラル短資FX 証拠金維持率1,000%(2〜3倍相当)

各社が口を揃えて「低レバレッジから始めよう」と言っているのは、経験則に基づいています。高レバレッジは利益を大きくする魅力がありますが、初心者のうちはまず「退場しないこと」が最優先。レバレッジ3倍以下なら、相場が30円以上逆行しても即座にロスカットされることはなく、落ち着いて対処できる余裕があります。

慣れてきたら5倍、上級者でも10倍程度が現実的なラインです。25倍はあくまで制度上の上限であり、常に25倍で取引することは推奨されていません。

レバレッジで失敗しないための3つのルール

① ポジションサイズから考える

プロのトレーダーは「レバレッジを○倍にしよう」とは考えません。「1回のトレードで許容できる損失額」から逆算して取引数量を決め、結果としてレバレッジが決まる——これが正しい順番です。

たとえば、資金10万円で「1回の損失は資金の2%(2,000円)まで」と決めた場合、損切り幅が50銭(0.5円)なら取引数量は2,000円÷0.5円=4,000通貨。このとき実効レバレッジは自動的に約6倍になります。

② 証拠金維持率を常にチェックする

証拠金維持率とは、必要証拠金に対する有効証拠金の割合です。

証拠金維持率(%)= 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100

この数値が高いほど安全で、低いほどロスカットに近づきます。最低でも250%以上を維持することを心がけましょう。250%を下回り始めたら、ポジションを減らすか追加入金を検討するタイミングです。

③ 損切りラインを必ず設定する

レバレッジを使う以上、損切り(ストップロス)の設定は必須です。「もう少し待てば戻るかも」と損切りを先延ばしにすると、レバレッジの力で損失が加速度的に膨らみます。注文と同時に逆指値注文を入れておく習慣をつけましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. レバレッジをかけないで取引できる?

はい。口座に155万円を入金して1万通貨(155万円相当)を取引すれば、レバレッジ1倍(実質レバレッジなし)の取引です。外貨預金と同じ感覚で始められますが、その分大きな資金が必要になります。まずは少額×低レバレッジで感覚を掴むのがおすすめです。

Q. レバレッジで借金を負うことはある?

通常の取引ではロスカット(強制決済)が作動するため、証拠金がゼロになる前にポジションが決済されます。ただし、週末を挟んだ急激な相場変動などでロスカットが間に合わない場合、証拠金以上の損失(追証)が発生する可能性はあります。低レバレッジで運用し、週末前にポジションを軽くするなどの対策が有効です。

Q. 海外FXの高レバレッジ(100倍〜1,000倍)は使っていい?

金融庁に登録のない海外FX業者の利用は推奨しません。日本の規制外のため、出金トラブルや詐欺のリスクがあります。国内25倍の範囲でも、適切なレバレッジ管理をすれば十分な利益を狙えます。

Q. 松井証券のようにレバレッジコースを選べる会社はある?

松井証券では1倍・5倍・10倍・25倍の4段階からレバレッジ上限を選択できます。「自分で制限をかけたい」という初心者にとって、使いすぎを防ぐ安心機能です。多くの他社では取引数量と証拠金の関係で実効レバレッジが決まる仕組みのため、自分で管理する意識が必要になります。

▼ レバレッジの感覚をつかむにはデモトレードが最適

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※本記事は2026年2月時点の情報に基づいています。レバレッジ規制や各社のサービス内容は変更される場合があります。最新情報は金融庁および各社公式サイトでご確認ください。FXはレバレッジにより大きな利益が期待できる反面、損失も拡大するリスクがあります。取引は余裕資金の範囲で行ってください。