FXのスプレッドとは?手数料の仕組みをわかりやすく

FXは「取引手数料無料」を掲げる会社がほとんどです。でも、本当にタダで取引できるわけではありません。

FXにはスプレッドという”見えにくいコスト”があります。これは通貨を買うときの価格(Ask)と売るときの価格(Bid)の差額のこと。たとえば米ドル/円の買値が155.002円、売値が155.000円なら、その差0.002円(0.2銭)がスプレッドです。

つまり、ポジションを持った瞬間に0.2銭分の含み損からスタートする。FXではすべての取引が”マイナスから始まる”のです。このコスト感覚を持てるかどうかが、利益を残せるトレーダーとそうでない人の分かれ目になります。

スプレッドが生まれる仕組み

海外旅行で円をドルに両替したことがある人は、ピンとくるかもしれません。空港の両替所では、「円→ドル」と「ドル→円」のレートが違いますよね。あの差額が両替所の収入です。

FXでもまったく同じことが起きています。FX会社は「カバー取引」といって、顧客の注文を受けたらインターバンク市場(銀行間市場)の金融機関に同じ注文を流します。このとき、FX会社とカバー先の金融機関の間にもスプレッドがあり、その差額がFX会社の収益になるわけです。

ただし、FXのスプレッドと外貨両替のスプレッドでは桁が違います。

取引方法 米ドル1万通貨あたりのコスト
銀行の外貨両替 約2万円(片道約1万円×往復)
外貨預金 約2,000〜4,000円
FX(スプレッド0.2銭) 約20円

FXのコストは外貨両替の約1,000分の1。これがFXの大きな強みです。

スプレッドの単位——「銭」と「pips」

スプレッドには2つの単位があります。

「銭」 は、米ドル/円やユーロ/円など日本円が絡む通貨ペアで使います。1銭=0.01円です。「スプレッド0.2銭」なら0.002円のコストという意味になります。

「pips(ピップス)」 は、ユーロ/米ドルなど外貨同士の通貨ペアで使われる共通単位です。日本円ペアの場合は1pips=1銭(0.01円)なので、「0.2銭=0.2pips」と覚えればOKです。

FX会社のサイトで「米ドル/円 0.2銭」「ユーロ/米ドル 0.3pips」のように表記が混在しているのは、この使い分けが理由です。

スプレッドの実際のコスト計算

スプレッドのコストは「スプレッド × 取引数量」で求められます。

米ドル/円のスプレッドが0.2銭(0.002円)の場合、取引数量ごとのコストは次のとおりです。

取引数量 1回あたりのコスト
1,000通貨 2円
10,000通貨(1万通貨) 20円
100,000通貨(10万通貨) 200円

1回あたりの金額は小さく見えます。しかし問題は、これが取引のたびに発生すること。

たとえば1万通貨でデイトレードを1日5回、月20日間行った場合、月間100回の取引でスプレッドコストは2,000円。年間では2万4,000円です。スキャルピングのように1日に何十回も取引するスタイルなら、この数倍に膨らみます。

「0.2銭なんて誤差だろう」と油断すると、気づかないうちに利益を食いつぶされるのがスプレッドの怖さです。

「原則固定」と「変動制」の違い

国内FX会社のスプレッドには、大きく2つのタイプがあります。

原則固定スプレッドは、基本的にスプレッドが一定に保たれる仕組みです。「米ドル/円 0.2銭 原則固定」と書かれていれば、通常時はほぼ0.2銭で取引できます。初心者にはコストが読みやすく安心です。

ただし「原則」とある通り、例外的に広がる場面がある点に注意してください。

変動制スプレッドは、市場の状況に応じてリアルタイムに変化します。相場が落ち着いているときは原則固定より狭くなることもありますが、荒れた相場では大きく広がるリスクがあります。

ちなみに「原則固定」を掲げるFX会社には、提示率(広告表示値以下のスプレッドが提示された時間の割合)を95%以上に保つことが求められています。口座選びの際は、スプレッドの数値だけでなく提示率もチェックすると、より実態に近いコスト比較ができます。

スプレッドが広がる3つのタイミング

原則固定であっても、以下のタイミングではスプレッドが通常の数倍〜10倍以上に広がることがあります。

① 日本時間の早朝(6時〜8時頃)。ニューヨーク市場が閉まり、東京市場が開くまでの空白時間帯です。市場参加者が極端に少なく、カバー先の金融機関も限られるため、スプレッドが大幅に拡大します。明確な目的がない限り、この時間帯の取引は避けるのが無難です。

② 重要な経済指標の発表前後。特に米国雇用統計やFRBの政策金利発表は要注意。発表前は市場参加者が様子見に入り流動性が低下、発表後は一気に注文が殺到して値動きが激しくなります。どちらのタイミングでもスプレッドは広がりやすくなります。

③ 突発的なニュース・災害・要人発言。予測不可能ですが、「おかしいな」と感じたらまず取引画面のスプレッドを確認する癖をつけましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. スプレッドが狭いFX会社を選べばそれで十分?

スプレッドの狭さは重要ですが、それだけでは不十分です。もうひとつ注目すべきは約定力(注文した価格で実際に取引が成立する力)。いくらスプレッドが0.2銭でも、注文時に価格がズレる「スリッページ」が頻発すれば、実質コストは高くなります。スプレッドと約定力の両方を見て口座を選びましょう。

Q. 通貨ペアによってスプレッドが違うのはなぜ?

取引量(流動性)の差が原因です。米ドル/円は世界中で大量に取引されるためスプレッドが狭く、南アフリカランド/円やトルコリラ/円のようなマイナー通貨ペアは取引量が少ないためスプレッドが広くなります。初心者はまず米ドル/円など、スプレッドが狭いメジャー通貨ペアから始めるのがおすすめです。

Q. スプレッドで損しないためのコツは?

3つあります。まず、早朝や経済指標発表前後の取引を避けること。次に、取引スタイルに合ったスプレッドの口座を選ぶこと(スキャルピングなら0.1銭の差も重要、スイングトレードなら多少広くても問題なし)。最後に、取引前に必ずスプレッドを画面で確認する習慣をつけること。

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※本記事は2026年2月時点の情報に基づいています。スプレッドは各FX会社・通貨ペア・時間帯により異なり、市場環境によって変動します。最新のスプレッド情報は各社公式サイトでご確認ください。