FXの口座を開設して取引画面を開くと、「USD/JPY」「EUR/USD」「GBP/JPY」……と大量の通貨ペアが並んでいます。20〜50種類もあるFX会社が珍しくありません。
「どれを選べばいいのかさっぱりわからない」。これ、初心者なら当然の反応です。
でも、安心してください。初心者が最初に選ぶべき通貨ペアの答えは、実はほぼ決まっています。この記事では「なぜその通貨ペアがいいのか」を、選び方の基準から順番に解説します。
通貨ペア選びで見るべき3つの基準
通貨ペアを選ぶとき、初心者が確認すべきポイントは3つだけです。
① 取引量が多い(流動性が高い)
取引量が多い通貨ペアは、常に売りたい人と買いたい人が大勢いる状態です。そのため「注文したのに約定しない」というトラブルが起きにくく、値動きも比較的安定します。
逆に取引量が少ないマイナー通貨ペアは、突然価格が飛んだり、想定外の方向に大きく動くリスクがあります。初心者が手を出すには危険です。
② スプレッドが狭い(取引コストが安い)
スプレッドとは、通貨の「買値」と「売値」の差のこと。これが実質的な取引コストです。取引量が多い通貨ペアほどスプレッドは狭くなる傾向があり、少ないコストで取引できます。
たとえば米ドル/円のスプレッドは0.2銭前後が業界水準ですが、トルコリラ/円になると数銭〜十数銭に広がることも。同じ取引回数でもコストに何十倍もの差が出ます。
③ 情報が入手しやすい
為替相場は、各国の金利政策・経済指標・政治ニュースなどで動きます。情報が豊富な通貨ペアなら、「なぜ今この方向に動いているのか」が理解しやすく、トレードの判断材料を集めやすい。
ニュースで毎日報道される米ドルやユーロと、ほとんど情報が流れてこないトルコリラや南アフリカランドでは、分析のしやすさがまったく違います。
初心者に最もおすすめの通貨ペアは「米ドル/円」
上記3つの基準をすべて高い水準で満たすのが、米ドル/円(USD/JPY)です。
取引量。 国際決済銀行(BIS)の2025年調査で、米ドルは世界の外国為替取引の44.6%を占める圧倒的な基軸通貨。日本円も8.4%で世界3位。この2つの組み合わせは、世界で2番目に取引量が多い通貨ペアです。国内に限れば、金融先物取引業協会のデータで取引金額シェア約87%と、日本人トレーダーのほぼ全員が取引している通貨ペアです。
コスト。 多くのFX会社が米ドル/円のスプレッドを0.2銭前後に設定しており、全通貨ペアの中で最も低コスト。1,000通貨の取引なら、1回あたりのコストはわずか2円です。
情報量。 テレビのニュース、新聞の経済欄、スマホのニュースアプリ。日常的に目にする為替情報のほとんどが米ドル/円です。米国の雇用統計やFRBの金利決定、日銀の金融政策など、相場を動かすイベントの情報も日本語で豊富に手に入ります。
値動きの性質。 適度なボラティリティ(値動きの幅)があり、トレンドが発生すると一定期間続きやすい傾向。アジア時間からニューヨーク時間まで終日それなりに動くため、自分の生活リズムに合わせて取引しやすいのも利点です。
迷ったら米ドル/円。これが初心者の最適解です。
慣れてきたら検討したい通貨ペア
米ドル/円のトレードに慣れ、安定して収支をプラスにできるようになったら、次の通貨ペアに視野を広げてみるのもよいでしょう。
ユーロ/円(EUR/JPY)。 ユーロは米ドルに次ぐ世界第2位の取引量。米ドル/円よりやや値動きが大きいものの、流動性は高く、スプレッドも比較的狭い。ECB(欧州中央銀行)の政策やドイツ・フランスの経済指標が主な変動要因で、ロンドン市場が開く16時以降に活発化する傾向があります。
ユーロ/米ドル(EUR/USD)。 世界で最も取引量が多い通貨ペア(BIS 2025年調査で全体の21.2%)。スプレッドが非常に狭く、セオリー通りの値動きをしやすいため、テクニカル分析の練習に向いています。ただし、損益が米ドル建てで発生する点(円に自動換算されるFX会社がほとんど)は知っておきましょう。
豪ドル/円(AUD/JPY)。 資源国通貨の代表格。中国経済や商品市場の動向に影響を受けやすい特徴があります。スワップポイント(金利差収益)が比較的高めで、中期保有にも向いていますが、その分リスクも大きいため、ある程度の経験を積んでからがおすすめです。
初心者が避けるべき通貨ペア
反対に、初心者のうちは手を出さない方がよい通貨ペアもあります。
英ポンド/円(GBP/JPY)。 「殺人通貨」の異名を持つほど値動きが激しい通貨ペア。1日に2〜3円動くことも珍しくなく、利益も大きい反面、一瞬で大きな損失を抱えるリスクがあります。経験を積んでからチャレンジしましょう。
トルコリラ/円、南アフリカランド/円、メキシコペソ/円。 いわゆる高金利通貨。スワップポイントが魅力的に見えますが、これらの通貨は政治・経済の不安定さから急落リスクが非常に高い。スワップポイントで数ヶ月かけて積み上げた利益が、1日の急落で吹き飛ぶことは珍しくありません。
マイナー通貨ペア全般。 取引量が少なく、スプレッドが広く、情報が乏しい。初心者が選ぶ理由がありません。
よくある質問(FAQ)
Q. 通貨ペアは最初から複数やった方がいい?
いいえ。最初は1つに絞ってください。1つの通貨ペアで安定した成績を出せないうちに複数に手を出すと、どれも中途半端になり、経験が蓄積しません。まず米ドル/円だけに集中して、その通貨ペアの「クセ」を体で覚えましょう。
Q. スワップポイント狙いで高金利通貨から始めるのはあり?
初心者にはおすすめしません。高金利通貨は為替変動リスクが大きく、スワップポイントの利益を為替差損が大幅に上回るケースが頻繁に起こります。スワップ戦略は、資金管理とリスク管理のスキルが身についた中級者以降のステップです。
Q. ユーロ/米ドルは円を使わない取引だけど、初心者でも大丈夫?
仕組みとしては問題ありません。ほとんどの国内FX会社は、損益を自動的に日本円に換算してくれます。ただし、ユーロ/米ドルは日本時間の昼間はあまり動かず、欧米時間(16時〜翌2時頃)に活発化します。その時間帯にトレードできる方なら検討の余地があります。
Q. 通貨ペアを変えるタイミングの目安は?
米ドル/円で3ヶ月以上トレードし、トータル収支がプラスで安定してきたら、2つ目の通貨ペアを検討するタイミングです。最初から複数やるのではなく、段階的に広げていきましょう。
まとめ:まずは米ドル/円の1本勝負
| 通貨ペア | 初心者おすすめ度 | 特徴 |
|---|---|---|
| 米ドル/円 | ◎ 最初の1本に最適 | 取引量・情報量・コストすべてトップクラス |
| ユーロ/円 | ○ 2本目の候補 | やや値動き大きめだが情報は豊富 |
| ユーロ/米ドル | ○ テクニカル派向け | 世界最大の取引量、欧米時間に活発 |
| ポンド/円 | △ 中級者以上 | 値動きが激しくハイリスク |
| 高金利通貨 | × 初心者は避ける | 急落リスクが高い |
通貨ペア選びに正解は1つではありませんが、初心者にとっての「最も失敗しにくい選択肢」は明確です。まず米ドル/円で経験を積み、自分のトレードスタイルが確立してから、次の通貨ペアに挑戦する。このステップを踏めば、無駄な損失を避けながら着実にスキルアップできます。
まだ実際のトレードに不安がある方は、デモトレードで米ドル/円の値動きを体感するところから始めてみてください。
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