FXスプレッド比較―各社のコストを徹底検証

FXにおけるスプレッドは、取引のたびに発生する「実質的な手数料」です。

多くの国内FX会社は取引手数料を無料にしていますが、だからといってコストゼロで取引できるわけではありません。買値と売値の差であるスプレッドが、あなたの利益を静かに削り取っています。

たとえば米ドル/円のスプレッドが0.2銭のFX会社で1万通貨を取引すると、1回あたり20円のコスト。「たった20円」と思うかもしれませんが、月に50回取引すれば1,000円、年間で12,000円です。これがスプレッド0.3銭の会社なら年間18,000円。わずか0.1銭の差が、年間6,000円のコスト差を生みます。

この記事では、主要5社のスプレッドを通貨ペア別に比較し、「数字だけでは見えないコストの落とし穴」まで解説します。

スプレッドとは?1分でわかる基本

スプレッドとは、同じ通貨ペアの買値(Ask)と売値(Bid)の差のことです。

たとえば米ドル/円の買値が150.003円、売値が150.000円なら、スプレッドは0.3銭(0.003円)。あなたが「買い」でエントリーした瞬間、すでに0.3銭分のマイナスからスタートしていることになります。この差額がFX会社の収益であり、トレーダーにとっての取引コストです。

スプレッドの単位は、円を含む通貨ペアでは「銭」、ユーロ/米ドルなど外貨同士の通貨ペアでは「pips」が使われます。1銭=1pipsと覚えておけば問題ありません。

主要5社スプレッド比較表(2026年1月時点)

通貨ペア SBI FXトレード GMOクリック証券 みんなのFX DMM FX 松井証券FX
米ドル/円 0.18銭 0.2銭 0.2銭 0.2銭 0.2銭
ユーロ/円 0.38銭 0.4銭 0.4銭 0.4銭 0.5銭
英ポンド/円 0.88銭 0.9銭 0.9銭 0.9銭 1.1銭
豪ドル/円 0.48銭 0.5銭 0.5銭 0.5銭 0.7銭
ユーロ/米ドル 0.3pips 0.3pips 0.3pips 0.3pips 0.4pips

※スプレッドは原則固定(例外あり)。SBI FXトレードは1〜100万通貨の基準値。松井証券FXの米ドル/円は1,000通貨までの注文に適用。GMOクリック証券はAM9:00〜翌AM3:00の原則固定。みんなのFXはAM8:00〜翌AM5:00の原則固定。各社公式サイト・みんかぶFX(2026年1月15日調査)より作成。

比較表から読み取れること

SBI FXトレードは米ドル/円0.18銭と業界最狭水準。 主要通貨ペアのほとんどで他社を0.02〜0.1銭上回っており、取引コストを徹底的に抑えたい人には最有力の選択肢です。

GMOクリック証券・みんなのFX・DMM FXの3社は主要通貨ペアでほぼ横並び。 米ドル/円0.2銭、ユーロ/円0.4銭、英ポンド/円0.9銭と、いずれも業界最狭水準に揃っています。スプレッドだけでは差がつかないため、取引ツールやサポート体制など他のポイントで比較するのが有効です。

松井証券FXはやや広め。 ただし、1通貨から取引できる超少額対応やレバレッジ倍率の選択機能(1倍/5倍/10倍/25倍)など、独自の強みがあります。スプレッドの差は1万通貨あたり数十円程度なので、少額取引がメインなら実質的な影響は限定的です。

スプレッドの数字だけで判断すると失敗する3つの理由

理由①:「原則固定」でも広がるタイミングがある

国内FX会社の多くは「原則固定(例外あり)」のスプレッドを提示しています。しかし、以下のタイミングでは固定スプレッドが適用されず、通常の数倍に広がることがあります。

早朝(日本時間5〜7時頃)。 ロンドン・ニューヨーク市場が閉まり、市場参加者が極端に減る時間帯です。米ドル/円で通常0.2銭のスプレッドが1銭以上に広がることも珍しくありません。

重要な経済指標の発表前後。 米雇用統計(毎月第1金曜)やFOMC(米連邦公開市場委員会)の発表直後は、注文が一方向に偏りスプレッドが一時的に拡大します。

年末年始・クリスマス。 世界的に市場参加者が減るため、流動性が著しく低下します。

初心者が特に注意すべきは早朝の時間帯。「朝起きたらチャートを確認して注文」というルーティンの方は、スプレッドが広がっている可能性があることを覚えておきましょう。

理由②:原則固定の「適用時間帯」が会社ごとに違う

見落としがちなのが、原則固定スプレッドの適用時間帯の違いです。

FX会社 原則固定の適用時間帯
みんなのFX AM8:00〜翌AM5:00(21時間)
GMOクリック証券 AM9:00〜翌AM3:00(18時間)
ヒロセ通商 AM9:00〜翌AM3:00(18時間)

みんなのFXは適用時間帯が21時間と長く、朝8時から原則固定が適用されます。一方、GMOクリック証券やヒロセ通商は9時からのため、8〜9時の間は固定スプレッドが保証されません。

適用時間が長い=安心して取引できる時間が長いということ。表面上のスプレッド数値が同じでも、この差は実質的なコストに影響します。

理由③:約定力(スリッページ)も「見えないコスト」

スプレッドが狭くても、注文した価格と実際に約定した価格にズレ(スリッページ)が頻繁に起きる会社では、実質的なコストはスプレッド以上になります。

たとえば、スプレッド0.2銭の会社で0.3銭のスリッページが発生すれば、実質コストは0.5銭。スプレッド0.3銭でもスリッページがほぼゼロの会社のほうが、結果的に安く取引できることになります。

みんなのFXは約定率99.9%(2025年5月実績)を公表しており、スプレッドの狭さと約定力を両立しています。約定力はスプレッドのように比較表に載りにくい指標ですが、「スプレッド+スリッページ=実質コスト」という視点を持つことが大切です。

取引スタイル別:スプレッドの重要度

スプレッドの重要度は、取引スタイルによって大きく変わります。

スキャルピング(秒〜分単位の超短期売買):最重要。 1日に何十回も取引するため、0.1銭の差が年間で数万円のコスト差に。SBI FXトレードやみんなのFXのような最狭水準の会社を選ぶべきです。

デイトレード(1日以内の売買):重要。 1日数回の取引でもスプレッドは積み重なります。主要5社であればどこを選んでも大きな差はありませんが、取引する通貨ペアのスプレッドは必ず確認しましょう。

スイングトレード(数日〜数週間の保有):それほど重要ではない。 取引回数が少ないため、スプレッドよりもスワップポイントやチャート分析ツールの充実度を優先したほうが合理的です。

よくある質問(FAQ)

Q. スプレッド0銭のFX会社はある?

国内の通常口座で米ドル/円のスプレッドが常時0銭の会社は、現時点ではありません。一部のFX会社がキャンペーンで期間限定0銭を実施することはありますが、常設ではないため注意してください。

Q. 原則固定と変動スプレッド、初心者はどちらがいい?

初心者には原則固定スプレッドがおすすめです。取引前にコストが把握できるため、損益計算がしやすく安心です。国内の主要FX会社はほぼすべて原則固定を採用しています。

Q. スプレッドが狭い会社ほど安全性が低い?

そんなことはありません。GMOクリック証券やSBI FXトレードなど、業界最狭水準のスプレッドを提供しつつ、金融庁登録・信託保全完備の大手企業は多数あります。スプレッドの狭さと安全性は別の話です。

Q. 通貨ペアによってスプレッドが違うのはなぜ?

通貨の流通量(流動性)が異なるためです。世界の基軸通貨である米ドルは流通量が多いため調達コストが低く、スプレッドも狭くなります。一方、トルコリラやメキシコペソなどの新興国通貨は流動性が低いため、スプレッドが広くなる傾向があります。

まとめ:スプレッドは「数字+α」で判断しよう

FXのスプレッド比較で大切なのは、表面上の数字だけでなく「原則固定の適用時間帯」「スプレッド提示率」「約定力」の3つを含めた実質コストで判断することです。

純粋にスプレッドの狭さを求めるならSBI FXトレードが最有力。スプレッドの狭さと約定力のバランスならみんなのFX。総合力と取引ツールの完成度ならGMOクリック証券が候補になります。

まだFXを始めていない方は、まずデモトレードでスプレッドの感覚を体感してみてください。実際にチャートを見ながら注文する体験が、数字の比較だけではわからないコスト感覚を教えてくれます。

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※本記事は2026年1〜2月時点の情報に基づいています。スプレッドは各社公式サイトで最新情報をご確認ください。 ※スプレッドは原則固定(例外あり)です。市場の急変時や流動性低下時には拡大する場合があります。 ※FX取引にはリスクが伴います。レバレッジ取引では、預けた証拠金以上の損失が生じる可能性があります。