「拡大する三角形」が教えてくれること
テクニカル分析のチャートパターンの多くは収束がテーマだ。シンメトリカルトライアングル(対称三角形)は高値と安値が狭まっていく。ウェッジ(くさび)も同様。これらは「ボラティリティが縮小し、やがてブレイクする」パターン。
ブロードニングフォーメーションはその真逆——ボラティリティが拡大し、高値はさらに高く、安値はさらに低くなる。チャート上に描かれるのはメガホン(拡声器)のような形状であり、「市場が叫んでいる」状態を示す。買い手はより高い価格を付け、売り手はより低い価格で売り込む。意見の対立が激化し、コンセンサスが崩壊している局面だ。
そしてダイヤモンドフォーメーションは、このブロードニング(拡大)の後にシンメトリカルトライアングル(収縮)が続く合成パターンであり、「不確実性が拡大→やがて収束→ブレイクアウト」という一連のドラマをチャート上に描く。
両パターンとも出現頻度は低い。だからこそ、出現した時の情報価値が高い。チャートパターン研究の権威Thomas Bulkowskiは2,000超のサンプルでブロードニングを、1,200超のサンプルでダイヤモンドを統計的に分析しており、本記事ではそのデータを活用しながら、FXでの具体的な使い方を解説する。
ブロードニングフォーメーション(メガホンパターン)
構造:「逆三角形」の5タッチ
ブロードニングフォーメーションは、高値を結ぶトレンドラインと安値を結ぶトレンドラインが発散する(広がっていく)パターン。三角形の反転形。
最低条件: 上側トレンドラインに2回以上、下側トレンドラインに2回以上、合計で最低4〜5回のタッチポイントが必要。多くの場合6回以上のスイングが発生する。
構造の例(5タッチ):
- 高値①を形成(例:EUR/USD 1.1020)
- 安値①を形成(例:1.0940)
- 高値②を形成(例:1.1050、高値①の1.1020より高い)→ 上側トレンドライン確定
- 安値②を形成(例:1.0910、安値①の1.0940より低い)→ 下側トレンドライン確定
- 高値③を形成(例:1.1080、高値②より高い)→ パターン内の最大幅=170pips
この時点で上下のトレンドラインが明確に発散しており、メガホンの形が見える。パターンの高さ(1.1080−1.0910=170pips)が利確ターゲットの基準値になる。
ブロードニングの種類:5つのバリエーション
「ブロードニング」は単一のパターンではなく、5つのバリエーションの総称。
①ブロードニング・トップ: 上昇トレンドの天井圏に出現。上下のトレンドラインが対称に発散する最も標準的な形。Bulkowskiのデータでは上方ブレイク1,215サンプル・下方ブレイク804サンプルが分析され、「パフォーマンスの悪いパターン(poor performer)」と評価されている。
②ブロードニング・ボトム: 下降トレンドの底値圏に出現。上方ブレイク599サンプル・下方ブレイク405サンプル。パフォーマンスランクは中位だが、後述するパーシャルディクラインが有効に機能しやすい。
③直角上昇型ブロードニング(RABFA): 下側のトレンドラインがほぼ水平で、上側だけが上昇する形。上方ブレイクの損益分岐失敗率15%、下方ブレイクの失敗率28%(Bulkowski、551+455サンプル)。上方ブレイクの方が安定。
④直角下降型ブロードニング(RABFD): 上側のトレンドラインがほぼ水平で、下側だけが下降する形。上方ブレイクの失敗率21%、下方ブレイクの失敗率23%(601+335サンプル)。上下のバランスが比較的均等。
⑤ブロードニング・ウェッジ: 上下のトレンドラインが同じ方向に傾きつつ発散する形。上昇ウェッジ(上に傾く)と下降ウェッジ(下に傾く)がある。下降ブロードニング・ウェッジは牛相場での平均上昇率が46%と高パフォーマンスだが、失敗率も高い。
FXで最も遭遇しやすいのは①②の対称型。③〜⑤は認識しておく価値はあるが、FXの日足〜H4ではやや識別しにくい。
市場心理:なぜボラティリティが拡大するのか
ブロードニングが形成される背景には、ファンダメンタルの不確実性がある。経済指標の解釈が割れている局面、中央銀行の政策変更が予想される局面、地政学リスクの高まりなど。楽観派と悲観派の見解が極端に分かれ、それぞれが強い確信を持って売買するため、振幅が拡大する。
StockChartsのChartSchoolは、ブロードニングの本質を「強気と弱気の投資家間の揮発的な不一致」と定義している。ブロードニングはテクニカルだけでなくファンダメンタルの背景を理解することが重要なパターンであり、経済・政治的リスクの文脈なしにトレードするのは危険とも指摘している。
サイクル理論の視点で言えば、ブロードニングは分配(Distribution)フェーズの末期に出現しやすい。機関投資家の売り抜けが進行中で、まだ買い手が残っているが力関係が逆転しかけている状態。市場の「綱引き」が最も激しくなる場面。
Bulkowskiの「パーシャルライズ」と「パーシャルディクライン」——ブレイク方向を事前予測する
ブロードニング最大の弱点は「どちらにブレイクするか分からない」ことだ。Bulkowskiはこの弱点を補う独自の手法を提唱している。パーシャルライズ(partial rise)とパーシャルディクライン(partial decline)——日本語のFX記事ではほぼ見かけないが、海外ではブロードニングトレードの核心とされる。
パーシャルライズ(部分的上昇)=下方ブレイクの予告: 価格がパターン内で上昇するが、上側トレンドラインに到達する前に反転して下落する。これは買い手の勢いが弱まっているサイン。上側ラインに到達する力がないということは、次に下側ラインを割り込む可能性が高い。
先ほどのEUR/USDの例で言えば:高値③(1.1080)を形成した後、安値③に向けて下落→上昇に転じるが1.1060程度までしか戻らず(上側ラインは1.1100付近のはず)→再度下落→下側トレンドラインを割って下方ブレイクアウト。
パーシャルディクライン(部分的下落)=上方ブレイクの予告: パーシャルライズの逆。価格が下落するが、下側トレンドラインに到達する前に反転して上昇する。売り手の勢いが弱まっているサイン。ブロードニング・ボトムでのパーシャルディクラインは特に有効。
なぜこの手法が重要か: ブロードニングは「ブレイクの方向が不明確」というのが定説。しかしパーシャルライズ/ディクラインはブレイク前の段階で方向のバイアスを持つことを可能にする。ブレイクを待たずに方向を推定できるため、ブレイクアウト後のプルバックが起きても(60%以上がプルバックする)、方向への確信を持って保有し続けることができる。
ただしBulkowski自身も「パーシャルライズ/ディクラインによる予測は早期エントリーを可能にするが、失敗リスクも増大する」と注意喚起している。予測が外れた場合の損切りは厳守。
トレード手法①:パターン内スイングトレード(5タッチ手法)
ブロードニングの内部でスイングを取る手法。リスクが高いが、パターンが完成するまでの間に複数回のトレード機会がある。
ルール:
- パターンが4タッチで確認された後、5波目以降のスイングをトレードする
- 下側トレンドラインにタッチ+反転ローソク足(ピンバー、包み線)→ 買い
- 上側トレンドラインにタッチ+反転ローソク足 → 売り
- 利確は反対側のトレンドライン
- 損切りはタッチしたトレンドラインの外側
具体例(先のEUR/USD): 安値②(1.0910)付近で下側トレンドラインにタッチし、ピンバーが出現→1.0910で買い→利確は上側トレンドライン付近の1.1060〜1.1080→損切りは1.0890(トレンドラインの20pips下)。リスクリワード比はおよそ1:7〜1:8。ブロードニングの振幅が大きいため、成功すればリスクリワードが極めて良い。
重要な注意: このスイングトレードは「パターンが継続する」ことが前提。ブレイクアウトが発生した瞬間にスイングトレードの前提が崩壊するため、損切りは厳守。RSIが70超え/30割れ圏にある場合のみエントリーすると精度が上がる。
トレード手法②:ブレイクアウト手法
パターンのトレンドラインをブレイクした方向にエントリーする手法。
ルール:
- ブレイクアウトはローソク足の実体がトレンドラインの外側でクローズすること
- ブレイク方向に出来高の増加が確認できること(FXではティックボリュームで代用)
- パーシャルライズ/ディクラインが先行していれば、ブレイクの信頼性が上がる
- プルバック(ブレイク後にパターン付近まで戻る動き)を待ってからエントリーするのが安全。StockChartsのChartSchoolによると60%以上がプルバックする
- 利確ターゲット:パターンの高さ(最高値−最安値)をブレイクポイントに加算(上方)または減算(下方)
- 損切り:パターン内の直近のスイングポイントの反対側
FXでの注意: ブロードニングは方向の予測精度が低いパターン。ブレイクした方向が「本物」かどうかの確認に、RSIのダイバージェンス、ボリンジャーバンドのバンドウォーク開始、上位足のトレンド方向との一致を確認材料にする。
MT4ではトレンドライン描画ツールで上下のラインを引き、ブレイクを視覚的に監視できる。MT4を扱うFX会社についてはMT4対応のFX会社ガイドで紹介している。
ダイヤモンドフォーメーション
構造:ブロードニング+シンメトリカルトライアングルの合成
ダイヤモンドフォーメーションは、前半がブロードニング(拡大)、後半がシンメトリカルトライアングル(収縮)で構成される菱形(ダイヤモンド形)のパターン。Bulkowskiの表現を借りれば「ブロードニング・トップがシンメトリカルトライアングルに変化したもの」。
形成の4段階:
- 拡大フェーズ(前半): ボラティリティが拡大。高値は切り上がり、安値は切り下がる。メガホンの前半部分が形成される。出来高は不規則に増減する。
- 転換点: ボラティリティが最大に達した後、反転。高値が切り下がり始め、安値が切り上がり始める。ここが菱形の最大幅。
- 収縮フェーズ(後半): シンメトリカルトライアングルと同じ収縮。ボラティリティが低下し、価格が狭いレンジに閉じ込められる。出来高が減少傾向になる場合が多く、Bulkowskiはこの「減少する出来高」が確認できるとパターンの信頼性が向上すると述べている。
- ブレイクアウト: トライアングルのトレンドラインを突破。出来高が急増し、新しいトレンドが始まる。
Bulkowskiの統計データ:ダイヤモンドの実力
チャートパターン研究におけるBulkowskiのデータは、日本語のFX記事ではほぼ引用されない。しかしダイヤモンドの「実力」を正確に評価するにはこのデータが不可欠。
ダイヤモンドトップ(733サンプル):
- 上昇トレンドの後に出現。下方ブレイクが本命の反転シグナル
- 上方ブレイクのパフォーマンスランクは39パターン中最下位(牛相場)
- つまりダイヤモンドトップで上方にブレイクした場合は信頼性が低い
- 「急騰→ダイヤモンドトップ→急落」の場合、落下地点(crash site)は急騰の起点(launch site)付近まで戻ることが多い
ダイヤモンドボトム(477サンプル):
- 下降トレンドの後に出現。69%の確率で上方にブレイクアウトする
- 急落後に形成されたダイヤモンドボトムは「急反発」の特性を持つ
- 牛相場で上方ブレイク時のパフォーマンスは中位
実践的な意味: ダイヤモンドトップを見つけたら下方ブレイクに備えよ(上方ブレイクは信頼できない)。ダイヤモンドボトムを見つけたら上方ブレイクに備えよ(69%が上方に出る)。方向のバイアスが明確な分、ブロードニング単体よりトレードしやすい。
ダイヤモンドの「歪み」:教科書通りの形は少ない
Bulkowskiは「ダイヤモンドの形は多くの場合、片側に歪んでいるか押しつぶされている」と述べている。教科書に載っている左右対称の完璧な菱形はレアケースであり、実際のチャートでは一方の辺が長い、上下が非対称、といった歪んだ形で出現する。
このため、ダイヤモンドの識別は完璧な菱形を探すのではなく「前半の拡大→後半の収縮」という2段階の構造変化を見つけることが本質。左右対称にこだわると見逃す。
ダイヤモンドとヘッド&ショルダーズの関係
ダイヤモンドトップは、しばしば変形したヘッド&ショルダーズ(H&S)として出現する。これはBulkowskiも、ATASのチャートパターン解説でも言及されている。
- 左肩 → ブロードニング(拡大フェーズ)の最初のスイング
- 頭 → ブロードニングの最大振幅(パターンの最高値)
- 右肩 → トライアングル(収縮フェーズ)のスイング
- ネックライン割れ → 下方ブレイクアウト
ダイヤモンドかH&Sか迷った場合は、H&Sとして分析した方が利確ターゲットとネックラインの設定が明確になりやすい。「両方のフレームワークでターゲットを算出し、より保守的な方を利確ターゲットにする」のが実用的。
トレード手法:ブレイクアウト+ターゲット算出
ダイヤモンドはブロードニングよりトレードしやすい。収縮フェーズで「溜め」が効いた後のブレイクアウトであるため、方向が明確になりやすい。
エントリールール:
- ダイヤモンドの右側のトレンドライン(収縮フェーズ)を、ローソク足の実体がブレイクしたらエントリー
- 出来高がブレイク方向に増加していること
- RSIがブレイク方向に一致していること(上方ブレイクならRSI50超え、下方ブレイクならRSI50割れ)
- ダイヤモンドトップなら下方ブレイクのみを狙う(上方ブレイクは最下位パフォーマンス)
- ダイヤモンドボトムなら上方ブレイクを優先(69%が上方)
利確ターゲットの算出(具体例):
EUR/USDでダイヤモンドトップが形成されたとする。
- パターン内の最高値:1.1050
- パターン内の最安値:1.0850
- パターンの最大幅(高さ):1.1050 − 1.0850 = 200pips
- 下方ブレイクポイント:1.0900(収縮フェーズの下側トレンドライン)
- 利確ターゲット:1.0900 − 200pips = 1.0700
- もし「急騰→ダイヤモンドトップ」のパターンなら、急騰の起点もターゲットの目安になる(Bulkowskiの「crash site ≒ launch site」ルール)
損切り: ダイヤモンド内の直近のスイングポイントの反対側。上方ブレイクなら直近安値の下、下方ブレイクなら直近高値の上。損切りの詳細は「損切りルールの作り方」を参照。
ブロードニングとダイヤモンドの比較表
| 比較項目 | ブロードニング(メガホン) | ダイヤモンド |
|---|---|---|
| 形状 | 逆三角形(拡大のみ) | 菱形(拡大→収縮) |
| 構成 | ブロードニング単体 | ブロードニング+シンメトリカルトライアングル |
| Bulkowskiサンプル数 | トップ:2,019 / ボトム:1,004 | トップ:733 / ボトム:477 |
| ブレイク方向の予測 | 困難(パーシャルライズ/ディクラインで補完) | 比較的明確(トップ→下方、ボトム→69%上方) |
| 出現頻度 | レア | 非常にレア |
| 推奨時間足 | H4〜日足 | 日足〜週足 |
| 主なトレード手法 | パターン内スイング or ブレイクアウト | ブレイクアウト |
| リスク | 高い(60%以上がプルバック) | 中程度(収縮で溜めが効く) |
| 利確ターゲット算出 | パターンの高さをブレイクポイントに加算/減算 | 同左+急騰起点ルール |
| 独自の予測手法 | パーシャルライズ/パーシャルディクライン | H&Sフレームワークでの二重検証 |
実践フロー(6ステップ)
- パターンの識別。 高値の切り上げ+安値の切り下げが最低2回ずつ確認できるか。MT4のトレンドライン描画ツールで上下のラインを引いて発散しているか確認。ブロードニングなら上下に広がるメガホン形、ダイヤモンドなら前半拡大+後半収縮の菱形。ZigZagインジケーターでスイングポイントを機械的に特定すると識別精度が上がる。
- 出現位置の確認。 上昇トレンドの天井圏(トップ)か、下降トレンドの底値圏(ボトム)か。パターンの出現位置が反転の方向を示唆する。ダイヤモンドトップなら下方を、ダイヤモンドボトムなら上方を優先。トレンドの中間に出現した場合は継続パターンの可能性も考慮。
- パーシャルライズ/ディクラインを監視する(ブロードニングの場合)。 価格がトレンドラインに到達しない反転を起こしたら、反対方向のブレイクに備える。パーシャルライズ→下方ブレイクの準備、パーシャルディクライン→上方ブレイクの準備。
- 補助指標でバイアスを強化。 RSIのダイバージェンス(価格は新高値を更新しているがRSIが更新しない等)があればトップからの反転の確度が上がる。ボリンジャーバンドの拡大→収縮がダイヤモンドの拡大→収縮と一致していれば、パターンの信頼性が高い。A/Dラインが価格と乖離していれば、分配フェーズにある手がかり。
- ブレイクアウトを待つ。 ブレイクの確認は実体のクローズ+出来高増加。プルバックが起きやすいため、ブレイク直後よりもプルバック後のリテスト(ブレイクしたトレンドラインへの戻り→反発)でエントリーするとリスクリワード比が改善する。なお、チャネルラインのブレイクアウトも同様のプルバック戦略が有効。→ チャネルラインの引き方|MT4の5ツール完全ガイド
- 利確ターゲットと損切りを設定。 ターゲットはパターンの高さ分。急騰/急落後のダイヤモンドなら、急騰/急落の起点もターゲット候補。損切りはパターン内の直近スイングポイントの外側。
デモ環境で過去チャートを遡り、ブロードニングとダイヤモンドのパターンを探す練習から始めよう。「FXデモトレード(無料・口座開設不要)」で実際のチャートにトレンドラインを引き、パターンを識別する訓練ができる。
注意点
注意点①:レアなパターンであることを受け入れる。 ブロードニングとダイヤモンドは出現頻度が低い。無理にパターンを「見つけようとする」と、ノイズをパターンとして誤認する「パレイドリア(パターンの幻覚)」に陥る。Bulkowskiがダイヤモンドを「夏の夜に草むらのミミズを探すようなもの」と例えている通り、見つけにくいパターンであることを前提に、パターンが見えない時は「ない」と判断する規律が重要。
注意点②:ブロードニングの方向予測は難しい。 StockChartsのChartSchoolが「歴史的なパフォーマンスは反転・継続の判定に乏しい」と明言している通り、ブロードニング単体でのブレイク方向予測は信頼性が低い。パーシャルライズ/ディクラインの確認を待ち、ブレイクの確認を待ち、さらにプルバックを待つ。三重の確認で焦りを排除する。
注意点③:ダイヤモンドの識別には時間がかかる。 ダイヤモンドの「収縮フェーズ」が始まって初めて「これはダイヤモンドだったのか」と分かる。さらにBulkowskiが指摘するように、形は歪んでいることが多い。完璧な菱形を探すのではなく「拡大→収縮の構造変化」を見つけることに集中する。パターン形成中に「これはダイヤモンドになるはずだ」と決めつけてエントリーするのは危険。
注意点④:FXのティックボリュームの限界。 両パターンとも出来高の確認が重要だが、FXのティックボリュームは株式の実出来高ほど信頼性が高くない。メジャー通貨ペア(EUR/USD、GBP/USD等)のH4以上のチャートで最も信頼性が高い。マイナー通貨ペアやM15以下の時間足では識別の精度が大幅に落ちる。
注意点⑤:ダイヤモンドトップの上方ブレイクは避ける。 Bulkowskiのデータで上方ブレイクのパフォーマンスが39パターン中最下位であることは軽視できない。ダイヤモンドトップが形成された時は下方ブレイクのみを狙う、と最初からルール化しておく方が長期的なパフォーマンスが安定する。
注意点⑥:経済イベントとの関係を意識する。 ブロードニングはファンダメンタルの不確実性で出現しやすい。FOMC、雇用統計、CPI等の重要経済指標の前後は、ブロードニングが形成されやすく、同時にパターンが経済イベントによって「上書き」されるリスクもある。経済カレンダーとの照合は必須。
よくある質問(FAQ)
Q. ブロードニングフォーメーションとは?
ブロードニングフォーメーション(メガホンパターン)は、高値が切り上がり安値が切り下がることで、チャート上にメガホンや逆三角形のような拡大する形を描くパターンです。シンメトリカルトライアングル(対称三角形)の逆で、ボラティリティが収束ではなく拡大していることを示します。Thomas Bulkowskiの研究(2,019サンプル)では「パフォーマンスの悪いパターン」に分類されていますが、パーシャルライズ/ディクラインでブレイク方向を事前予測する手法が有効です。
Q. ダイヤモンドフォーメーションとは?
ダイヤモンドフォーメーションは、前半がブロードニング(拡大)、後半がシンメトリカルトライアングル(収縮)で構成される菱形のパターンです。Bulkowskiの研究によると、ダイヤモンドボトムは69%の確率で上方にブレイクアウトし、ダイヤモンドトップは下方ブレイクが信頼性が高いとされます。急騰後に形成されたダイヤモンドは「急騰地点まで急落する」特性があります。
Q. パーシャルライズ/パーシャルディクラインとは?
Bulkowskiが提唱するブレイクアウト方向の事前予測手法です。パーシャルライズは、価格が上昇するが上側トレンドラインに到達する前に反転下落する現象で、下方ブレイクアウトを予告します。パーシャルディクラインはその逆で、下側トレンドラインに到達しない反転上昇で、上方ブレイクアウトを予告します。ブロードニングの方向予測が難しい弱点を補う重要なテクニックです。
Q. 利確ターゲットはどう計算する?
パターン内の最高値と最安値の差(パターンの高さ)を算出し、ブレイクポイントにその高さを足す(上方ブレイクの場合)または引く(下方ブレイクの場合)ことで利確ターゲットを設定します。例えばEUR/USDのダイヤモンドで最高値1.1050・最安値1.0850なら高さは200pips。下方ブレイクポイント1.0900の場合、ターゲットは1.0900−200pips=1.0700です。
Q. ブロードニング/ダイヤモンドはFXで出現しますか?
はい。どちらも株式・FX・コモディティで出現します。ただし比較的レアなパターンであり、特にダイヤモンドは出現頻度が低いです。FXではH4〜日足で最も識別しやすく、メジャー通貨ペア(EUR/USD、GBP/USD等)のボラティリティが高まる局面(FOMC前後等)で出現しやすい傾向があります。MT4のトレンドライン描画ツールで上下のラインを引き、発散/収束を確認できます。