FXリバ取り完全ガイド|急変動を利益に変えるエントリー手法とリスク管理【2026年版】

2024年7月、日銀の利上げサプライズでドル円は1日で500pips以上急落した。翌日、価格は約300pips戻した。

この「戻り」を取れたトレーダーと、パニックで損切りしたトレーダー。同じ相場を見ていたのに、結果は正反対だ。

急落・急騰の直後に発生する「リバウンド(価格の戻り)」を狙って利益を取る手法——それがリバ取りだ。

リバ取りは、正しく使えばスキャルピングでもデイトレードでも武器になる。しかし、根拠なく「そろそろ戻るだろう」と飛び乗れば、含み損が膨らむ一方になる。

本記事では、リバ取りのエントリー判断を「なんとなく」から「根拠あるルール」に変える方法を、具体的に解説する。

リバ取りとは何か

リバ取りとは、急激な価格変動(急落または急騰)の後に発生するリバウンド(反発・戻り)を狙って利益を得るトレード手法のこと。「リバウンド取り」の略語であり、「リバ狙い」「リバウンドトレード」とも呼ばれる。FXだけでなく株式市場や仮想通貨市場でも広く使われる手法だ。

たとえば、経済指標の発表でドル円が一瞬で100pips急落したとする。その直後、30〜50pips程度は価格が戻すことが多い。この「戻り幅」を短時間で取りに行くのがリバ取りの基本だ。

リバ取りは逆張りの一種に分類されるが、通常の逆張りとは明確に異なる点がある。

項目 通常の逆張り リバ取り
タイミング トレンド中の反転を狙う 急変動の直後を狙う
保有時間 数時間〜数日 数分〜数十分
利確目標 トレンド転換の大幅な利益 リバウンド幅の一部(控えめ)
リスク トレンド継続で大損 急変動の継続で大損
判断基準 テクニカル指標の反転シグナル 急変動の「行き過ぎ」度合い

この表の通り、リバ取りの特徴は「短時間・控えめな利確・急変動の直後」という3点に集約される。欲張らずにサッと取って逃げる。これがリバ取りの鉄則だ。

なぜリバウンドは起きるのか|3つのメカニズム

リバ取りを「なんとなく戻るだろう」ではなく、根拠を持って行うためには、リバウンドが発生するメカニズムを理解しておく必要がある。

メカニズム①:利確の連鎖

急落(急騰)で利益を得たトレーダーが、一斉に利益確定の決済を行う。売りポジションの利確は「買い戻し」なので、価格を押し上げる方向に作用する。急変動が大きいほど、利確したいトレーダーの数も多くなり、リバウンドも大きくなる傾向がある。

メカニズム②:ストップロス狩り後の真空地帯

急落時にはロングポジションのストップロス(損切り注文)が次々と執行され、連鎖的な下落を引き起こす。しかし、ストップロスが一巡すると「売り圧力」が急速に減少する。売り圧力が消えた状態で少しでも買いが入ると、価格は軽く跳ね上がる。これが「真空地帯のリバウンド」だ。

メカニズム③:アルゴリズムの平均回帰トレード

大手金融機関のアルゴリズムには「価格が移動平均線から一定以上乖離したら逆方向にエントリーする」という平均回帰ロジックが組み込まれていることが多い。急変動で乖離が拡大すると、これらのアルゴリズムが自動的に逆方向の注文を出し、リバウンドを加速させる。

この3つのメカニズムが重なるほど、リバウンドは大きく・確実に発生する。逆に、1つしか該当しない場合は小さなリバウンドにとどまるか、リバウンドなしでそのまま進行する。

実例で考えてみよう。 2024年8月の日銀ショックでは、①利上げサプライズで機関投資家が一斉に円買い → ②個人トレーダーのロングのストップロスが連鎖執行 → ③アルゴリズムの平均回帰ロジックが発動、という3つが重なった。結果、急落後に大規模なリバウンドが発生した。メカニズムの「重なり度合い」を見極めることが、リバ取りの精度を左右する。

リバ取りのエントリー判断|「飛び乗り」をやめる5つのチェック項目

リバ取りで最も危険なのは「急落した!今すぐ買わなきゃ!」という衝動的なエントリーだ。以下の5つをチェックしてからエントリーすることで、勝率を大幅に上げられる。

チェック①:急変動の原因は何か

リバウンドの大きさと確率は、急変動の原因によって大きく異なる。

急変動の原因 リバウンド期待度 理由
経済指標の瞬間的な反応 ★★★★★ 過剰反応→冷静な見直しが入りやすい
要人発言・ヘッドライン ★★★★☆ 初動は感情的。内容の精査で戻ることが多い
テクニカル要因(ストップ狩り) ★★★★☆ ストップ一巡後の真空地帯で反発しやすい
地政学リスク(戦争・テロ) ★★☆☆☆ 不確実性が継続するため戻りにくい
金融危機・信用不安 ★☆☆☆☆ パニック売りが長期化する。リバ取り禁止

経済指標による急変動が最もリバ取りに適している。一方、金融危機や信用不安(リーマンショック型)はリバウンドどころかさらに暴落するケースがあるため、手を出してはならない。

チェック②:急変動の値幅は「平常時の何倍」か

リバウンドが発生するには、価格が「行き過ぎた」状態になっている必要がある。その判断基準はATR(Average True Range)の倍率だ。

目安として、直近20日ATRの1.5倍以上の値動きが1時間以内に発生した場合、リバウンドの確率が高まる。ATRの2倍以上ならリバ取りの好機だ。

具体例:ドル円の20日ATR(日足)が120pipsの場合、1時間で180pips以上動いたらリバ取りの検討対象になる。

チェック③:ローソク足に「ヒゲ」が出ているか

急落後のローソク足に長い下ヒゲ(急騰後なら上ヒゲ)が出現した場合、その時間足レベルでは反転の兆候を示している。ヒゲの長さが実体の2倍以上あれば、リバウンドの可能性が高い。

重要なのは確定足で判断すること。ローソク足が確定する前(形成途中)にエントリーすると、ヒゲが実体に変わって急落が続行するリスクがある。

ローソク足のパターンについてさらに詳しく学びたい方は「FXのローソク足の見方|パターン別の売買シグナル」を参照してほしい。

チェック④:乖離率をチェックする

価格が移動平均線(20EMAまたは20SMA)からどれだけ離れているかを確認する。乖離が大きいほどリバウンドの確率が高い。

実用的な目安:

時間足 乖離の目安(リバ取り検討ライン)
5分足 20EMAから30pips以上乖離
15分足 20EMAから50pips以上乖離
1時間足 20EMAから100pips以上乖離

※通貨ペアのボラティリティによって調整が必要。ポンド系は1.5倍、マイナー通貨は2倍程度で見る。

チェック⑤:上位足のトレンドと一致しているか

リバ取りが最も成功しやすいのは、上位足のトレンド方向へのリバウンドを取る場合だ。

たとえば、日足が上昇トレンド中に短期的な急落が発生した場合、リバウンド(上方向への戻り)は日足トレンドと同じ方向であり、成功率が高い。逆に、日足が下降トレンド中の急落後にリバウンド買いを狙うのは、上位足の圧力に逆らうことになるため、リスクが高い。

上位足のトレンド方向を素早く判断するには、通貨強弱チャートが便利だ。急落した通貨が通貨強弱チャートで「最弱」に位置している場合、リバウンドは期待しにくい。

リバ取り3つの実践手法

チェック項目をクリアしたら、いよいよエントリーだ。自分のレベルに合った手法を選ぼう。

あなたのスタイル 推奨手法 保有時間 狙う値幅
まず安全にリバ取りを試したい ① 確定足エントリー 10〜30分 20〜50pips
根拠を重ねて精度を上げたい ② EMA乖離リターン 30分〜2時間 50〜100pips
指標トレードで瞬間的に取りたい ③ 経済指標リバ 1〜10分 30〜50pips

3つの手法を「どの場面で・何を見て・どう入り・どこで出るか」まで具体的に解説する。

手法①:確定足エントリー(初心者向け)

最もシンプルで安全なリバ取り手法。急変動後にローソク足の確定を待ってからエントリーする。

条件:

  • 5分足または15分足を使用
  • 急落(急騰)後に、反転方向のローソク足が確定(陽線なら買い、陰線なら売り)
  • 長いヒゲが出ていればさらに有利

エントリー: 反転ローソク足の確定直後

利確: 急変動の値幅の30〜50%戻し。たとえば100pips急落なら、30〜50pipsの戻りで利確

損切り: 直近安値(買いの場合)の10pips下。急落の底を明確に割ったらリバ取り失敗と判断。なお、直近安値がラウンドナンバー(100.00、150.00などのキリの良い数字)と重なっている場合は、そのラインがより強いサポートとして機能するため、リバ取りの成功率が上がる。

リスクリワード目安: 1:1.5以上を確保できない場合は見送り

手法②:EMA乖離リターン(中級者向け)

20EMAとの乖離をトリガーにしたリバ取り。旧FX白熱教室の記事でも紹介していた手法のアップデート版。

条件:

  • 1時間足を使用
  • 価格が20EMAから大きく乖離している(チェック④参照)
  • 上位足(4時間足・日足)のトレンド方向と一致するリバウンドを狙う

エントリー: 5分足で反転の兆候(ヒゲ・包み足・ピンバー)が確認できた時点

利確: 20EMAまでの戻りの70%。EMAまで完全に戻るのを待たず、手前で利確する

損切り: エントリーポイントからATR(5分足)の1.5倍の逆行

ポイント: 1時間足で環境認識 → 5分足でエントリーという2段階構造。1時間足の乖離が「根拠」、5分足の反転パターンが「トリガー」だ。

手法③:経済指標リバ(上級者向け)

経済指標発表直後の急変動を狙う、最も短時間で完結するリバ取り。

条件:

  • 重要指標(雇用統計、CPI、FOMC、日銀政策決定会合など)の発表直後
  • 発表直後に50pips以上の急変動が発生
  • 発表後2〜5分で一方向の動きが「止まった」ことを確認

エントリー: 急変動が一時停止し、1分足で反転方向のローソク足が1本確定した時点

利確: 急変動の30%戻し。雇用統計で150pips落ちたなら、45pipsの戻りで利確

損切り: 急変動の最安値(最高値)から10pips外側。瞬間的に割り込んだら即退場

重要な注意: 経済指標直後はスプレッドが大幅に拡大している。スプレッドが通常時の3倍以内に縮小するまでエントリーしない。秒単位の判断が必要なため、事前に指値・逆指値を設定しておくか、ワンクリック注文を準備しておく。

リバ取りの損切りルール|生き残るための鉄則

リバ取りで退場する人の大半は、損切りの失敗が原因だ。以下の3つのルールを必ず守る。

鉄則①:エントリー前に損切り位置を決める

リバ取りはエントリーの「瞬発力」が求められるため、損切りを後回しにしがちだ。しかし、エントリーボタンを押す前に損切り位置を決め、注文と同時に逆指値を入れること。「あとで設定しよう」は致命的な遅れを招く。

鉄則②:ナンピン(買い増し)は絶対にしない

リバ取りで最も多い破綻パターンが「もう少しで戻るはず」と思ってナンピンし、さらに逆行するケースだ。リバ取りの前提は「急変動が行き過ぎた分の戻りを取る」ことであり、戻らないなら前提が崩れている。前提が崩れたトレードにナンピンで資金を追加投入するのは、沈む船にさらに人を乗せるようなものだ。

鉄則③:1回のリバ取りでリスクにさらす資金は口座の1%以内

リバ取りは勝率が高い手法ではあるが、負けたときの損失が大きくなりやすい(急変動時は滑りやすい=スリッページが発生しやすい)。1回のトレードで口座資金の1%以上をリスクにさらさないこと。100万円の口座なら、最大損失は1万円以内に収める。

リバ取りをやってはいけない5つの場面

リバ取りは万能ではない。以下の場面では、どれだけ「行き過ぎ」に見えてもリバ取りを仕掛けてはならない。

① 金融危機・信用不安の急落

リーマンショック、スイスフランショック、コロナショックのような「市場の構造が変わる」レベルの急変動は、リバウンドなしで何日も続落する。「歴史的な安値=買い時」ではない。

② VIX(恐怖指数)が30を超えている状態

VIXが30を超えると市場参加者のパニック度が高く、通常のリバウンドメカニズムが機能しない。恐怖が恐怖を呼ぶ連鎖が起きやすく、リバ取りの「根拠」が成立しない。

③ 流動性が極端に低い時間帯(早朝・年末年始)

日本時間の早朝(5:00〜7:00)やクリスマス・年末年始は流動性が極端に低く、スプレッドも広い。このタイミングの急変動は「誤発注」や「薄い板を使った仕掛け」の可能性があり、リバウンドの予測が困難。

④ 重要指標が連続する日

雇用統計の直後にFOMC議事録が公開されるなど、重要イベントが連続する日は、1つ目のリバウンドが2つ目のイベントで打ち消される可能性がある。「リバ取りしたのに、次の指標で逆行された」という二重事故を避ける。経済指標の確認には「FXファンダメンタルズ分析|経済指標の読み方」も参考にしてほしい。

⑤ すでにポジションを持っている状態

既存のポジションの含み損を「リバ取りで取り返そう」とするのは、冷静な判断ではなく感情的な行動だ。リバ取りは常にフラットな状態(ノーポジ)から行う。

リバ取りに役立つインジケーター設定

リバ取りの判断を補助するインジケーターとその推奨設定を紹介する。

ボリンジャーバンド(期間20・偏差2σ・3σ)

価格が±2σの外側に飛び出した時点で「行き過ぎ」の警告、±3σを突破した場合は「強烈な行き過ぎ」と判断できる。3σタッチ後のバンド内への回帰がリバ取りのシグナルとなる。

RSI(期間14)

RSIが20以下(売られすぎ)または80以上(買われすぎ)に到達した場合、リバウンドの可能性が高い。ただし、急変動時はRSIが張り付くことがあるため、単独ではなく他の根拠と組み合わせて使う。RSIの基本的な使い方は「FXのRSI・MACDの使い方|オシレーター系指標入門」を参照。

ATR(期間20)

急変動の「異常度」を客観的に測定するために使用。現在のATRが20期間平均ATRの1.5倍以上なら、リバ取りの検討対象。

EMA(20期間)

乖離率の測定に使用。手法②の中核となるインジケーター。

MT4での設定方法:

  1. チャート上で右クリック →「インディケータリスト」
  2. 各インジケーターを追加し、上記パラメータを設定
  3. テンプレートとして保存 →「リバ取り用テンプレート」として呼び出せるようにしておく

MT4の詳しい操作方法は「MT4(メタトレーダー4)完全ガイド|国内7社を徹底比較」を参照。

FAQ:リバ取りに関するよくある質問

Q. リバ取りの勝率はどのくらいですか?

チェック項目を満たした場面に限定すれば、勝率は60〜70%程度が目安。ただし、リバ取りは「勝率」よりも「リスクリワード比」が重要だ。勝率60%でもリスクリワード1:1.5を維持すれば、トータルで十分にプラスになる。

Q. リバ取りはどの通貨ペアが向いていますか?

流動性が高くスプレッドが狭い通貨ペアが適している。ドル円(USD/JPY)、ユーロドル(EUR/USD)、ポンドドル(GBP/USD)が推奨。ポンド円は値幅が大きくリバウンドも大きいが、スプレッド拡大リスクも高いため、中級者以上向け。

Q. リバ取りとナンピンの違いは何ですか?

リバ取りは「ノーポジションの状態から、急変動後のリバウンドを狙って新規エントリーする」手法。ナンピンは「既に含み損のポジションに対して、さらに追加で同方向のポジションを持つ」行為。目的も状況もまったく異なる。リバ取りでナンピンは絶対にしない。

Q. 自動売買(EA)でリバ取りはできますか?

可能だが、急変動時のスプレッド拡大やスリッページの処理が難しく、バックテストと実運用で結果が大きく乖離しやすい。まずは裁量トレードでリバ取りの感覚をつかみ、その後に自動化を検討する順番が望ましい。

Q. 株式のリバ取りとFXのリバ取りの違いは?

基本的な考え方は同じだが、FXは24時間市場のため「ギャップ(窓)」が少なく、リバウンドの動きが連続的。株式は場中の出来高に大きく依存するが、FXは流動性が常に高いため、リバ取りの機会が多い。

まとめ:リバ取りを武器に変える3ステップ

リバ取りは「ギャンブル」ではない。急変動のメカニズムを理解し、5つのチェック項目で根拠を固め、損切りルールを事前に決めておけば、再現性のあるトレード手法になる。

ステップ1:チェックリストを印刷する → 5つのチェック項目をPC横に貼っておく。急変動が起きたとき、興奮状態でも冷静に確認できるようにする

ステップ2:過去チャートで練習する → MT4のバックテスト機能や、TradingViewのリプレイ機能を使って、過去の急変動後のリバウンドを手法①で練習。実資金を使う前に最低20回はシミュレーションする

ステップ3:小ロットで実戦デビュー → 通常の10分の1のロットで手法①から始める。5回連続で利確できたら、ロットを通常に戻す

リバ取りの最大の敵は「焦り」だ。急変動を見て「今すぐ入らなきゃ損する!」と思ったら、深呼吸してチェックリストを見返す。それだけで、勝率は劇的に変わる。

チャート分析の他の手法も知りたい方は「FXチャート分析入門|全記事一覧」へ。


※FX取引にはリスクが伴います。レバレッジ取引では、預けた証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引を始める前に、リスクについて十分にご理解ください。本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。