FXでトレードを開始する際、買い圧力や売り圧力が現在どの程度あるのかが分かると戦略が立てやすくなります。
その際に便利なのがエルダー・レイというテクニカル指標です。
MT4標準のインジケーターとして付属する「買い圧力」と「売り圧力」を表すインジケーターをサブウインドウに一つのインジケーターとして表示する指標がエルダー・レイです。
今回その、エルダー・レイについて詳しく解説いたします。
エルダー・レイとはどんなインジケーター?
アレクサンダー・エルダーが考案した、エルダー・レイ(Elder Ray)は、買い圧力と売り圧力を同じウインドウ上に表示する事により一目で勢力の優劣を見分ける事が出来、売買チャンスを分かり易く表示する、大変便利なインジケーターです。
しかし、エルダー・レイはMT4標準インジケーターとしては付属していません。
MT4に標準で付属する買い圧力を表すインジケーターは「Bulls Power」(牡牛が猛々しく角を下から上へ突き上げる=買いのサインになります)です。
そして、売り圧力を表示するインジケーターは「Bears Power」(雄熊が強靭な爪を上から下へ振り下ろす=売のサインになります)です。
この二つのインジケーターを、同一ウインドウ上に表示させたものがエルダー・レイです。
エルダー・レイを使う利点
買い圧力(ブルパワー=相場の強気度)を知るためには、高値とEMA(Exponential Moving Average=指数平滑移動平均)の離れ具合(乖離率)を表示し視覚すると分かり易いです。
一方、売り圧力(ベアパワー=相場の弱気度)を知るためには、安値とEMAの乖離率を表示する事で分かります。
しかし、二つのインジケーターをそれぞれサブウインドウに表示した状態では、相場の優劣が分かり辛いです。
一つのウインドウに表示させる事で見やすくなり、売買の判断基準に出来るテクニックも加え易くなります。
後ほど、その辺りは詳しく解説いたします。
エルダー・レイの計算式
エルダー・レイはブルパワーとベアパワーの対比になりです。
したがって、計算式は下記となります。
Bulls Power = 高値 – n日間の終値による指数移動平均値(期間はパラメーターで設定します)
Bull_Power = 当日高値 - 14日EMA
Bears Power = 安値 – n日間の終値による指数移動平均値(期間はパラメーターで設定します)
Bears_Power = 当日安値 - 14日EMA
計算式からも類推できると思いますが、0ライン地点が中立の立場になり、売買の基準になります。
EMAを使うのは、トレンド変化にSMAより敏感に反応するためです。
※パラメーターの引数は一般的には13日EMAを使いますが、今回は14日EMAで設定しています。
エルダー・レイの使い方
まず、エルダー・レイの設定方法から解説いたします。
エルダー・レイの設定方法
エルダー・レイはMT4に標準装備はされていません。
標準で付いております「Bulls Power」と「Bears Power」の両インジケーターを同一ウインドウに表示させてエルダー・レイを作ります。
しかし、標準の「Bulls Power」と「Bears Power」の両インジケーターはラインでは無く、ヒストグラム(HISTOGRAM)表示になっています。
まず、これを見易くなるように、ライン表示に変更する手順から説明いたします。
MT4のメニューから「表示」→「ナビゲーター」を表示させます。
すると、ナビゲーターウインドウが現れます。
「インディケータ」内に「Bulls」が有りますので、右クリックして、修正を選択します。
別ウインドウで「MetaEditor」が起動しますので、スクリプトを修正します。
Bulls .mq4というスクリプトを編集いたします。
30行目に「HISTOGRAM」と書いている箇所を「LINE」に変更をして下さい。
そして、ツールバーに「コンパイル」が有りますのでクリックして完了です。
同じく、「Bears.mq4」のスクリプト内の記載を「HISTOGRAM」を「LINE」に変更をしてコンパイルしてください。
これで「MetaEditor」を終了させればOKです。
MT4で売買をしたい通貨のチャートを表示させ、ナビゲーターから「Bulls」をドラッグアンドドロップしてください。
設定画面が現れますので「全般タブ」で下限設定と上限設定をします。
0ラインが基準になりますので、下限設定はマイナスを任意の数字に設定し、上限設定も任意の数値にして下さい。
相場の乖離具合により波の振幅が大小しますので、現在の変動に合う数値を入れて下さい。
「パラメーターの入力タブ」でパラメーターを確認してください。
デフォルトは13日間です。
「色設定タブ」で見やすいカラーに設定してください。
「レベル表示タブ」で基準となる0にラインが引かれるように設定してください。
設定が終わりましたら、「OK」ボタンを押すと反映されます。
次に、先程できたサブウインドウにナビゲーターから「Bears」をドラッグアンドドロップして下さい。
設定ウインドウが開きましたら、下限と上限は「Bulls」で設定した数値と同じ数値を入れて下さい。
パラメーターも同じになる数値に設定してください。
ラインの色は見分けが付くように、先程とは違う色にした方が見やすいです。
レベル表示は「Bulls」で設定しましたので、不要です。
これで、エルダー・レイの出来上がりです。
※MT4標準ではないですが、「Elder-rays」というオリジナルインジケーターも御座います。
エルダー・レイの見方と使い方
エルダー線の見方は、数種類あります。
上記画像を見ながら解説いたします。
ブルパワーのラインが「0」の位置以下ではトレード中の買い参加者が中立の状態です。
0よりも下限位置では買い意欲は弱いと判断でき、0を越えてきたら強気相場(買い圧力が強)へ変わると判断します。
上記画像の青い縦線2本間が、0ラインを超える買いサインになります。
ベアパワーのラインが0の位置以上では中立ですが、下げてきたら弱気相場(売り圧力が強)へ変わると判断します。
高値圏でダイバージェンス(ベアリッシュ・ダイバージェンス)の出現、ロウソク足は高値を更新して上昇しているが、ブルパワーは高値を更新出来ず下げています。
上記画像赤い縦線2本間が、売りのサインになります。
※ダイバージェンスは、ロウソク足とインジケーターが乖離している逆行現象です。
※買いサインは逆になり、底値圏でダイバージェンス(ブリッシュ・ダイバージェンス) が出現した場合です
まとめ
エルダー・レイはMT4に標準装備されていない事や、ブルパワー「買い圧力」とベアパワー「売り圧力」と二つの相反するインジケーターで構成されている為、少し取っ付き難いかもしれません。
でも、特徴や使用方法などの理解を深めますと、大事な売買チャンスを知らせてくれる指標です。
エルダー・レイに限りませんがインジケーターは、過去データーの変動を基に売買サインを出しますので、遅れがちですし、ダマシに合う事も多々有ります。
損切の設定は忘れずにしましょう。
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