引き続き新型コロナウイルスの影響で為替相場が動いています。
ワクチンの接種が世界的に広まり始めて楽観ムードの国もあるなか、新規感染者数（変異株）の増加もみられるので手放しに喜んではいられない状況です。
ドル円 日足
6 月のドル円は109.50で寄り付きました。
当初は予想を上回ったADP雇用統計やISM非製造業景気指数などを受け110.32まで上昇しましたが、雇用統計が予想を下回ると反落し、週明け7日に月間安値109.19を記録しました。
その後も概ね好調だった米10年債入札や前月比では伸びが縮小した米CPIなどを受けて米長期金利が低迷する中、ドル円も上値の重い時間帯が続きました。
一方、FOMC(米連邦公開市場委員会)では参加者の政策金利予想分布図が2023年の2度の利上げを示唆しました。
総じてタカ派と解されたFOMCが、当初は幅広い年限の米金利上昇とドル買いを誘い、ドル円も110.82まで上昇しました。
ただ、来年の利上げを示唆したセントルイス連銀ブラード総裁発言(18 日)も嫌気され、リスク 回避姿勢が強まると株安・円高に波及しました。
週明け21日にドル円は110円を割り込み、一旦109.72まで下落する場面がみられました。
もっとも、金融政策の正常化がインフレ高進を抑制するとの見方などから市場のインフレ期待が低下し、長期金利もFOMC前の水準を下回るとドルが反落しました。
これを受けてリスク選好地合いが回復すると、ドル安を凌ぐ円安によってドル円は1年5ヵ月ぶりに111.11まで上昇しました。
上院の超党派が1.2兆ドル規模(8年間)のインフラ投資法案に関して合意したと報じられたことも市場に安心感を与えた様子です。
月末にかけて1.5%割れで推移する米長期金利にドル円も続伸を阻まれているが、110円台半ばで月末を迎えています。
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ユーロ円
ユーロ円は133.95の高値圏で寄り付くと、高値134.12まで上伸しました。
ですが、その後は緩やかな下落基調を辿り、23日には安値130.05まで下落しました。
130円台では下値の堅さが確認されると、市場のリスク選好が回復するなかで持ち直し、131円台前半にて推移しています。
ユーロ圏では、新型コロナウイルスの新規感染者数の伸び鈍化が続いています。
5月末時点で29,566人であった新規感染者数の7日間平均は、6月29日時点では11,656人に減少しました。
また、28日時点でのユーロ圏全体の「1回はワクチンの接種を受けた人」の比率の平均は50.8%に上り、ワクチン接種ペースの加速が顕著です。
このように、6月もユーロ圏における新型コロナをめぐる状況の改善が続いており、行動制限措置の緩和と相まって経済の早期回復期待が高まり、ユーロ相場の支援材料となる状況が続いています。
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ポンド円
ポンドの対円相場は155円台後半の高値圏で寄り付くと、155円を挟んで概ね方向感に乏しい値動きが続きました。
だが、16日のFOMCで米金融政策の正常化が前倒しされるとの観測が強まると、安値151円台前半まで下落する場面がみられました。
FOMCの内容を消化するに連れて相場が落ち着きを取り戻すと、市場のリスク選好姿勢が回復しました。
6 月のポンド相場は対ドル、対円ともに下落し、対ドルでは 5 月の上昇分を打ち消しました。
その理由のひとつとして、これまで英国の景気回復期待を支えてきた、新型コロナウイルス感染者数の減少傾 向が反転したことが挙げられます。
5月以降、新型コロナウイルスの新規感染者数が再び増加傾向にあり、7日間平均は6月29日時点で17,650人(5月末時点:3,210人)に増加しています。
その主因として、インド型変異株の感染拡大が挙げられます。
インド型変異株の感染者数は、増加ペースこそ和らいだものの、依然として増加傾向にあります。
こうしたなか、当初6月21日に予定されていたロックダウンの段階的解除第4段階への移行は、4週間(7月19日まで)の延期が決定されました。
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