中国の恒大集団の問題や米国のテーパリングがほぼ確定の流れを受けて各通貨の相場は上下しました。
引き続きコロナウィルスの動向も気になるところです。
ドル円 日足
9 月のドル円は、110.06で寄り付いた後、月央にかけて軟調に推移しました。
米雇用統計では、非農業部門雇用者数の増加幅が、23.5万人と事前予想(73.3万人)や前月実績(105.3万人)を大きく下回りました。
米消費者物価指数についても、前年比、前月比とも伸びが前月から縮小し、インフレ高進のピークアウトが意識されました。
利上げの織り込みが盛り上がりを欠く中で、幅広い年限の米国債利回りが低迷したことも、ドル円の軟調に影響を与えています。
加えて、中国の不動産大手、中国恒大集団の債務問題が嫌気された月央以降は、市場でリスク回避姿勢が台頭しました。
円買いも強まったことから、ドル円は15日に109.11の月間安値 を記録しました。
一方、米FOMCは22日に金融政策の現状維持を決めたほか、声明文に「経済情勢の進展がみられれば、資産買い入れの縮小(テーパリング)がすぐにも正当化される」と記載しました。
これにより、次回11月のFOMCにおけるテーパリングの開始決定が確定的となるとともに、早ければ同月中にも着手される可能性が示されました。
記者会見でパウエルFRB議長は、来年半ばまでのテーパリング終了が適当であるとも発言しています。
参加者の政策金利の予想分布図(ドットチャート) でも半数以上が2022年中の利上げを適切とみていた為、早期利上げの織り込みが進みました。
想定よりも、ややタカ派寄りと映ったことよりも、正常化のスケジュール感やテーパリングのペースに関する手掛かりが得られたことを市場は好感したようです。
また、中国当局が、中国恒大集団に対し、債務不履行を回避するよう伝えたと報じられたことも好材料となり、緊張が緩和したことで上昇を後押ししました。
米長期金利の上昇を手掛かりとしたドル高に、円売りが合わさり、ドル円は月末にかけて堅調に推移し、29日に年初来高値(111.66)を更新した後も続伸しました。
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ユーロ円 日足
ユーロ円は130.14で寄り付くと、高値130.40 まで上伸しました。
ですが、 同水準で上値を抑えられるとリスク回避姿勢が強まる中で、下落基調を辿り、19日に安値127.94をつけました。
その後はパウエ ル議長の講演を通過して市場のリスク回避姿勢が和らぐなか、月末にかけて129円台後半に値を戻しています。
9日の理事会で、ECBは第4四半期のPEPPの下での資産買入に関して、過去2四半期より「幾分低下(“ a moderately lower pace”)」 させると決定しました。
7月の金融政策の戦略見直しとそれに伴うフォワードガイダンスの変更により、ECBが緩和的な金融政策を長期にわたって維持するとの見方が広く行き渡ったことで、利上げ期待が 後退しました。
買入ペースを減速しても、良好な資金調達環境は維持できると判断したものとみられます。
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豪ドル円 日足
対円相場は、月初に82円絡みまで上昇したものの、その後は、対ドル同様に弱含みとなり、78円台後半まで下落しました。
月末にかけては豪ドルが底堅く推移したほか、円安が進行したため、一時は81円台を回復する場面もあったものの、結局、80円台前半まで反落しています。
シドニー大都市圏を中心とする豪州国内での新型コロナ・デルタ 株感染の拡大は漸くピークアウトの兆しがみえてきました。
いわゆる「ゼロコロナ戦略」見直しの前提となるワクチン接種も急ピッチで進められており、16歳以上で2回接種を完了した人の割合(接種率)は国全体で 50%を超えてきています。
シドニー擁するニュー サウスウェールズ州(NSW)では、ここまでの感染拡大も踏まえて接種ペースを速めてきたことから、すでに1回でも接種した人の割合が80%を超えました。
10月の早い段階で目処とする(2 回 接種)70%に到達できる見通しとなり、これが今後の相場の好材料となっていくかもしれません。
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ポンド円 日足
ポンドの対円相場は151円台前半で寄り付くと、中旬にかけて151円から152円台を中心に底堅い推移が続き、14日には高値152円台後半まで上昇した後、反落しました。
市場のリスク回避姿勢が強まるなかで、クロス円の下落に連れてポンド円相場も下げ幅を拡大しました。
21日には一時149円を割り込み、7月20日以来の安値水準に沈みましたが、市場のリスク回避姿勢が和らぐなかで反発すると、28日は一時152円台を回復しました。
BOEのマン委員の「物価上昇は一時的であり、現時点では厄介な問題ではない」との発言を受けて早期利上げ観測が後退するなか、150円台後半に値を下げて推移しています。
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