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FXで陥りやすい「代表性バイアス」と回避方法


FXトレードをしている人で、ポジション保有前と保有後に予想をしない人はいないと思います。
しかし、その予想を立てた根拠はどこに置いているのでしょうか?
今までの経験による「感」に頼って予想をしていますと、「代表性バイアス」に陥る危険性が高まります。
今回、FXで陥りやすい「代表性バイアス」について解説いたします。

代表性バイアスとは?

過去に体験したことまたはネットや書物で得た知識に起因して、「あるべき姿」を思い描いてしまうことにより、新たな情報がもたらされた後にも、その「あるべき姿」から逃れられなくなってしまう現象を言います。
更に、本人はその偏見に満ちた固定概念に囚われていることにも気がついていない状態が、「代表性バイアス」そのものです。

FXトレードで陥る「代表性バイアス」

FXをしていますと、「予想がたまたま当たる」ことがあり、それが自身の実力と思い込みがちになります。
また、前回ここで反転したので今回も同じ箇所で反転するだろうと、損切をせずに耐えて深みにはまるトレーダーは多いです。
あるいは、「代表性バイアス」に気づかず、思い込みのトレードを続けて、損切どころかナンピンを繰り返し、いずれ大負けしてしまう人もいます。
過去に数回助かった経験が思い描いた「あるべき姿」、すなわち「代表性」となりその思い込みから逃れられなくなることは強制ロスカットに繋がります。
過去の勝利を得た体験が、本当にテクニカル分析などで理論的に導き出された結果による勝利なのか、それとも偶然の産物なのかを見極める必要があります。

通貨ペア選びで陥る「代表性バイアス」

他には、トレードする通貨ペアでも「代表性バイアス」に陥る危険性が有ります。
トレードする通貨ペアはトレード人口が多い方が、ボラが大きくならずトレードしやすいと考えると思います。
日本人はFXと言いますと「ドル円」(USD/JPY)をトレードする人が多いです。
次に人気なのが「豪ドル円」(AUD/JPY)になります。
その為、そのあたりの通貨ペアをトレードしていると安全と感じてしまい、チャート分析をしっかりとせずに気軽にエントリーをしているケースもあります。
しかし、実際の世界で流通している通貨は以下のようになっています。

<通貨単独のシェア率>
1位USD:アメリカドル44%
2位EUR:ユーロ16%
3位JPY:日本円11%
4位GBP:イギリスポンド6%
5位AUD:オーストラリアドル3%
6位CAD:カナダドル3%
7位CHF:スイスフラン2%
8位CNY:中国人民元2%
9位SEK:スウェーデンクローナ1%
10位NZD:ニュージーランドドル1%
上記以外の合計11%

<流通量の多い通貨ペア一覧>
※グローバル市場における1日平均、単位:10億米ドル(出典:国際決済銀行2019年)

通貨ペア名 取引高 シェア率 特徴
EUR/USD(ユーロ/米ドル) 1,584 24% 流通量1位と2位の通貨ペア
USD/JPY(米ドル/円) 871 13% 流通量1位と3位の通貨ペア
GBP/USD(ポンド/米ドル) 630 10% 流通量1位と4位の通貨ペア
AUD/USD(豪ドル/米ドル) 358 5% 流通量1位と5位の通貨ペア
USD/CAD(米ドル/加ドル 287 4% 流通量1位と6位の通貨ペア
USD/CHF(米ドル/スイスフラン) 228 4% 流通量1位と7位の通貨ペア
EUR/GBP(ユーロ/ポンド) 131 2% 流通量2位と4位の通貨ペア
EUR/JPY(ユーロ/円) 114 2% 流通量2位と3位の通貨ペア
EUR/ CHF(ユーロ/スイスフラン) 73 1% 流通量2位と7位の通貨ペア
その他の通貨ペア合計 2,314 35%  

流通する通貨ペアは「ユーロ/米ドル」が多く、続いて「米ドル/円」「ポンド/米ドル」と続き、上位9位内に「豪ドル/円」は表示されていません。

また、逆に「ポンド円」(GBP/JPY)はボラティリティーの高さから通称「殺人通貨」と言われています。
ボラティリティーは高い方が利益は出しやすいですが、思惑が外れて反対方向へ進行した場合は大きな損になる危険性が伴います。

「代表性バイアス」に陥らない方法

「代表性バイアス」に陥らないためには、常に変化する最新データを重要視して判断基準にすることです。
前項の表で記載した通貨の流通データは、エネルギー・貴金属・武器その他諸々を含めた貿易の取引量による所も大きいです。

ボラティリティーを検証

通貨ペアの中で「米ドル/円」「ユーロ/米ドル」はボラティリティーが低く扱いやすい通貨ペアと言うイメージが定着しています。
逆に「ポンド/円」は大変ボラティリティーが高くて、ポジションを保有した当日に200pips程度は変動するイメージがあります。
米ドル/円とポンド/円のボラを今年(2022年1月~9月)・去年(2021年1月~12月)・10年前(2012年1月~12月)のデータで比較してみます。

10年前の2012年は前年の「東日本大震災」によりドル/円が75円台まで下落し、円高に対して先進7カ国(G7)の協調介入がありました。
これにより一時的にドル/円は85円台まで上昇しましたが、2012年は再び76円台まで下落し、アベノミクスの上昇相場が始まる2013年まで76円台~85円台で推移していました。
その年のボラティリティーは7.606%とやや高めでした。

2021年はコロナの相場への影響は収束し、103円台~115円台で推移していました。
その年のボラティリティーは5.241%で穏やかな価格変動だったと言えます。

2022年の今年は急激なドル高円安になり145円台まで上昇し、日銀による為替介入がありましたが、140円を割ることは出来ませんでした。
2022年は9月までのデータですが、ボラティリティーは10.055%まで高まっています。

ポンド円のボラティリティーが10.621%ですので大きな差は無い状態です。
※新興国通貨である、南アフリカランドやメキシコペソは12%~17%のボラティリティーが通常です

マーケットでの取引人口が多いほど、ボラティリティーは穏やかになるのが普通ですが、今年は異例の状態です。
こういった非常事態を意識せずに「ドル円はボラが低いはず」という思い込みでトレードしてしまうと失敗してしまいます。

まとめ

今回、FXで陥りやすい「代表性バイアス」を取り上げ、避ける方法を書いてきました。
ボラが緩やかだと思っていたドル円も今年のデータを見る限りは高いボラを出す通貨であると言えます。
先入観(思い込み)でトレードすることがいかに危険であるかといういい例になっています。

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