世界中で猛威を奮っている新型コロナウィルスですが、世界各国はどの様な対策をとっているのでしょうか？
またそれに伴い為替相場はどのように変化したのでしょうか。
今後のトレードにも役立つ、それぞれの国の対策と相場との関係を解説します。

米国

コロナ対策

● 国民への現金給付、失業手当の拡充
● 企業への融資、債務保証、補助金給付
● ワクチン、治療薬開発への投資
● 国債、政府機関債の無期限買い入れ
● 地方債、社債の買い入れ

相場の変化

まずは、購買力平価要因(物価の動向)でドル高からスタートした米ドル。
底堅い物価の上昇ペースが鈍化し、前年比でドル高圧力が強まったことが要因です。
新型コロナウィルス感染拡大防止のため貿易活動を抑制していたので、日本の貿易黒字が縮小し、米国金利の低下から対外投資の伸び悩みもあり、ドル安圧力が弱まったことも影響があるでしょう。

しかし、米国の金融緩和の影響で日本銀行は国債買い入れを無制限に。
米国の資産購入などの資金供給の規模が大きくなったことから、一転しドル安圧力になりました。

その後は新型コロナウィルス感染拡大の影響による米中貿易戦争で市場の不安は縮小し、ドル安圧力は再び小さくなりました。

ユーロ

コロナ対策

● 労働者と雇用を維持するための融資
● 中小企業を中心とした融資支援
● パンデミック緊急購入プログラムによる量的緩和

相場の変化

2020年第一四半期には引き続き物価要因がユーロ安の影響となっています。
ECB（欧州中央銀行）はパンデミック緊急購入プログラムを拡大するなど金融緩和対策を実施してきましたが、FRB(連邦準備制度理事会)の金融緩和のペースが早く、ユーロ高圧力とはいきませんでした。
さらに、ユーロ圏では黒字経営だった貿易活動が停滞したことも要因となり、ユーロ高圧力は縮小しています。

しかし、CFTC（米商品先物取引委員会）関連では投機筋のユーロの買い越しポジション保有が目立ち、ユーロ高へ移行を始めています。
7500億ユーロの復興基金案の首脳合意などを背景に投資資金がユーロに戻ってきたことも要因となっています。

オーストラリア

コロナ対策

● 所得支援、無料保育の提供、公共料金の割引、現金給付、医療費補助
● 企業への資金調達、資金補助、給与税の免税
● 医療システムの強化
● 政策金利の引き下げ
● 量的緩和の導入
● 企業のローン返済繰延

相場の変化

豪ドルは新型コロナウィルスの感染拡大によりグローバル景気の減速をうけて大きく下落しましたが、その後各国の積極的な金融・財政政策や経済活動再開の動きを背景に反発しました。
また、貿易面では中国との繋がりが太いので、中国の新型コロナウィルス感染の落ち着きや景気回復も買い材料となりました。

その後、RBA(豪州中央銀行)は政策金利の据え置きを決定し、量的緩和を再開する方針を固めます。
また豪州の声明では新型コロナウィルスの猛威は後退したとされていますが、景気の回復については「ウイルスの封じ込めに依存する」として見通しは不透明となりました。

英国

コロナ対策

● 休業者への休業損害補填及び低所得者への支援
● 病気休暇の保証、融資の信用保証、納税の猶予を先延ばし
● 企業への助成金や資金提供
● 政策金利の引き下げ
● 量的緩和

相場の変化

英国首相のジョンソン氏が新型コロナウィルスに感染したことによりポンドは下落しました。
一時は重症化の報道もありましたが無事退院し、それと共にポンドも回復しました。
しかし、英国はもともとリセッション(景気後退)に入っていたとの見方が強く、金融政策や財政政策では効果が薄いとの指摘もあります。
また、EUの離脱問題の不透明感もあり、経済に対する不安が残ります。

まとめ

新型コロナウィルスによる影響で景気、経済の後退が余儀なくされています。
その中、様々な対策を打ち出してはいますが、まだまだ決定打に欠けています。
新型コロナウィルスが落ち着いたとしても、また次の新型ウィルスがやってこないとは限りません。
各国は今回のことを教訓に、今のうちから対策を考えていく必要があります。
私達も何かあったときの各国の対応力に注目しておくことで、相場が揺れた時の対策を考えておきましょう。

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