FXで資産を増やす方法は、通貨ペアを売買して利益を上げるキャピタルゲインと、保有する通貨ペア間の金利差で生じる、受け取りスワップポイントのインカムゲインが有ります。
基本、インカムゲインの収益が、キャピタルゲインの損失に追いつけないのは、リーマンショック時に証明されました。
今回、資産運用を有利に進める為、スワップポイントを受け取りつつ、トレード益も出せる方法を紹介いたします。
スワップポイントとは?
FXは政策金利の低い通貨で金利の高い通貨を買った場合に金利差が生じ、スワップポイントとして受け取ることが出来ます。
金利の高い通貨で低い通貨を売っても同じく、スワップポイントを受け取れます。
しかし、逆に金利の低い通貨で、高い通貨を売りますと、毎日スワップポイントは引かれてしまいます。
スワップポイントの大きさは、通貨国の中央銀行が決める政策金利に影響されています。
日本では日本銀行、米国では連邦準備制度理事会(FRB)により政策金利は決まります。
各国の中央銀行は金利の上げ下げを行い、市中に流れる通貨量を調整しています。
高金利通貨トルコリラと日本円の比較
日本の政策金利は2016年2月より-0.10%です。
かたやトルコは昨年夏までは政策金利24%の高金利通貨でしたが、今年に入り10%を切るようになり、11月になると15.00%にあがりました。
スワップポイントの計算
スワップポイントの計算式は、下記になります。
スワップポイント(円)=保有数量×金利差(%)÷360(日)× 円評価レート
この計算式でトルコリラ円の1日のスワップポイントを計算してみます。
トルコリラ/円の2020年12月22日のレートは13.55円。
トルコリラと日本円の金利差は15.10%なので、ロングポジションで1万通貨保有すると、
10,000×0.151÷360×13.55 = 56.83…
となり、1日に受け取れるスワップ金額は56.83円であることがわかります。
ただし、実際のスワップポイントはFX業者に裁量権があるため、業者ごとに異なることも注意しておきましょう。
主要国の政策金利一覧
では他の国の政策金利はどのようになっているのでしょうか。
2020年の8月〜11月の各国の政策金利を比較したのが下の図です。
8月 | 9月 | 10月 | 11月 | |
日本 | -0.10 | -0.10 | -0.10 | -0.10 |
アメリカ | 0.25 | 0.25 | 0.25 | 0.25 |
欧州 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
イギリス | 0.10 | 0.10 | 0.10 | 0.10 |
カナダ | 0.25 | 0.25 | 0.25 | 0.25 |
オーストラリア | 0.25 | 0.25 | 0.25 | 0.10 |
ニュージーランド | 0.25 | 0.25 | 0.25 | 0.25 |
スイス | -1.25 | -1.25 | -1.25 | -1.25 |
南アフリカ | 3.75 | 3.5 | 3.5 | 3.5 |
トルコ | 8.25 | 10.25 | 10.25 | 15.00 |
メキシコ | 4.50 | 4.25 | 4.25 | 4.25 |
ロシア | 4.25 | 4.25 | 4.25 | 4.25 |
現在は、金融緩和が世界的な潮流となった状況です。
多少の変動はあるといえ、高金利通貨と低金利通貨は国によって大きく別れています。
政策金利を下げたとはいえ、トルコリラは今でも高金利通貨であることは間違いないです。
次に、メキシコペソとロシアルーブルが4.25%、南アフリカランド3.5%と続きます。
DMM FXでは2021年3月29日(月)より通貨ペアに高金利通貨のメキシコペソ円を追加しています。
まだ口座開設していない人はこれを機にいかがでしょうか。
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FX業者によりスワップポイントは異なる
前項で受け取りスワップ金額の計算方法を記載しましたが、実際に受け取れる金額には、かなりの差が有ります。
12月末のトルコリラ/円(TRY/JPY)のロングポジションのスワップポイントをFX業者別にまとめると以下のようになります。
みんなのFX、マネックスFX: 33円
FXプライムbyGMO、FXネオ、SBIFX、YJFX!、LINE FX: 31円
外為どっとコム、マトリックストレーダー 、ヒロセ通商:30円
外為オンライン、マネーパートナーズ: 25円
岡三オンラインFX(取引所FX)、365FX(取引所FX):24円
パートナーズFX:7円
このように、FX会社によってスワップポイントは大きく開きがあることがわかります。
スワップポイントを安全に稼ぐ方法
スワップポイントの高い通貨国は新興国に多く、政策として金融引き締め策を実施しています。
そして、インフレ率も高いことになります。
高金利通貨=新興国通貨(金融引き締め国)=高インフレ国
とおぼえておきましょう。
実際の金利は各国から発表される政策金利だけでは判断できないため、実質金利が重要となります。
●実質金利=名目金利(政策金利)-インフレ率(物価上昇率)
高金利通貨国の実質金利
高金利通貨として定着している、トルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランドの実質金利で比較してみます。
※12月期の数値
国名 | 政策金利 | インフレ率 | 実質金利 |
トルコ | 15.00% | 14.03% | 0.97% |
メキシコ | 4.25% | 3.33% | 0.92% |
南アフリカランド | 3.5% | 3.2% | 0.3% |
FXでは、インフレ率の高い国の通貨は、売られ続ける傾向が強いです。
高金利通貨国の貨幣価値は下がり続ける=売られ続ける=下落トレンドになります。
これらを理解したうえで、高金利通貨ペアをどのように扱えば収益を上げられるのかを知っておきましょう。
スワップポイントを受け取りつつトレードでも収益を上げる
具体的なトレード方法は、高金利を受け取れる通貨ペアと、連動性が高いヘッジ用通貨ペアを保有して損失を相殺させるという方法です。
上記画像はユーロ/南アフリカランドと米ドル/南アフリカランドを対比させたチャートです。
まずは、受け取りスワップ通貨ペアをEUR/ZARショート5万通貨を保有し、ヘッジ用の通貨ペアをUSD/ZARロング4万通貨を保有します。
※EUR/ZARとUSD/ZARの20年間の相関係数:0.958
EUR/ZARショートポジションの1日の受取スワップは0.5Lot(5万通貨)340円です。
対してUSD/ZARロングポジションの1日のマイナススワップは0.4Lot(4万通貨)-170円となります。
毎日この差額である170円が受け取れます。
相関係数
通貨の連動性を数値化したものです。
1は全く同じ動きの通貨になります、0.8以上の相関係数は連動性が高いです。
※保有通貨ペアの数量に差をつけたのは、取得益と受け取りスワップを多くするためです。
(同数にした場合リスクは減りますが最大益も減ります)
相関係数や通貨ペアの選定方法についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
→FXならでは!大暴落にも強い究極のリスクヘッジ方法ポートフォリオ
過去データからの検証
現在のレート、EUR/ZAR ショート17.82417ランドを5万通貨とUSD/ZARロング14.6235ランドを4万通貨保有した場合に得られる最大の利益と最大のリスクを20年間のデータから抽出します。
■20年間のデータから得られる最大利益
EUR/ZAR ショート17.82417を5万通貨と、USD/ZARロング14.6235を4万通貨保有した場合に、過去データから得られる最大の利益は4,436,972円になります。
■20年間のデータから得られる最悪のリスク
EUR/ZAR ショート17.82417を5万通貨と、USD/ZARロング14.6235を4万通貨保有した場合に、過去データから起こりうる最大のリスクは-257,880円になります。
20年間のデータから分かることは-257,880円のリスクで4,436,972円の利益が見込めることになります。
受け取れるスワップ金額は170円×日数ですので、仮に1年間かかれば62,050円になります。
※スプレッドはEUR/ZARとUSD/ZARは100pips、ZAR/JPYは50pips、EUR/USDは10pipsを加算しています。
※預入証拠金は30万円としています。
まとめ
このように複数の通貨ペアを持つことで、安全に多くのスワップポイントを受け取ることができます。
ただし、トレード益とスワップ益は相反する存在であり、ヘッジを効かせながらトレードをしませんと、即ロスカットになってしまいます。
扱う通貨ペアのデータを20年間程度は揃えて、検証をした後にトレードに臨まれることをお勧めいたします。
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