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ワクチン接種で経済回復期待が高まる2021年5月の世界各国の為替相場


5月の相場はドル、円ともに弱く、クロス円が堅調な動きを見せました。
ユーロは経済活動の再開により底堅さを示すなか、ポンドは変異株による感染拡大が懸念材料となっています。
豪ドルに関しては金融政策が今後のカギとなっています。

ドル円 日足

4月のドル円は109.20台で寄りついた後、米雇用統計(4 月)の発表まで109円台前半でのもみ合いが続きました。
しかし、非農業部門の雇用者数の伸びが266千人と事前予想(100 万人の増加)を大きく下回るとドル円は月間安値108.34まで急落しました。その後も翌週にかけて軟調に推移しました。

一方、今月のドル円は、米国の量的緩和縮小(テー パリング)の前倒し観測とドル安を凌ぐ円安によって支えられ、底堅く推移しました。この為、名目実効相場でみたドルは、既に年始の水準まで反落しましたが、ドル円は月末にかけて4月6日以来となる110円大台を回復するなど強含んだ結果となりました。

この内、テーパリングの前倒し観測には、米消費者物価指数(4 月)とFOMC議事要旨(4月開催分)が影響しました。
前年比+4.2%と13年ぶりの高い伸びを示した同指数は、市場に米国のインフレ高進を警戒させました。

また、議事要旨でも「かなりの数の参加者が、経済がゴールに向って急速に改善し続ければ、今後の会合のいずれかの タイミングで資産購入ペースの調整(テーパリング)に関する議論を始めることが適切である、と示唆した」との記述が注目された模様です。

円安の背景としては、米長期金利の上昇一服を好感したリスク選好、物価の伸び悩みを受けた日銀の大規模緩和の長期化観測、ワクチン接種の進展が顕著に鈍いことを嫌気した「日本売り」などが 指摘されています。
いずれにせよ、ドルも円も軟調に推移した結果、今月は特にクロス円が堅調に推移しました。
中でも、金融政策の正常化が意識されているドル円のほか、英ポンド円も年初に比べ て 1 割を超す上昇率を記録しました。

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ユーロ円 月足

ユーロ円は131.49で寄り付きました。
月初はユーロ売りが優勢となるなか、5日に安値130.99まで下落しました。
しかしその後は、新型コロナの感染者数の伸び鈍化とワクチン接種の進展を受けた経済活動の 早期回復期待と、それを裏付ける良好な経済指標を手掛かりに円売りの傍らユーロ買い優勢となり、ユーロ円は27日に2018年2月以来の高値134.04まで上昇しました。
ユーロ圏における新型コロナウイルスの感染者数の伸びは鈍化傾向が続いています。
4月末時点で84,031人であった新規感染者数の7日間平均は、5月30日時点では30,294人に減少しました。
また、29日時点でのユーロ圏全体の「1 回はワクチンの接種を受けた人」の比率の平均は38.7%に上り、ワクチン接種のペースの加速が顕著でした。
このように、5月も従来ユーロ相場の下押し要因となっていた新型コロナ関連の状況の改善がユーロ圏経済の早期回復期待につながり、ユーロ相場の支援材料となっています。

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ポンド円 月足

ポンドの対円相場は150.92で寄り付くと、英国祝日で休場のなか、3日に安値150.83を付けました。
その後反発すると、月末にかけて概ね上昇基調を辿りました。
また28日には2021年2月以来の高値156.07まで上昇しました。

5 月のポンド相場は主要通貨のなかで対ドル、対円ともに最も上昇した通貨となりました。
(1)ワクチン接種の進展による早期経済正常化への期待
(2)ロックダウンの段階的解除進展による景気の先行きに楽観的な見方の強まり

の2点がポンド相場の支援材料となっています。

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豪ドル円 日足

対円相場は、10日に2018年2月以来の高値85.80円まで上昇する場面があったものの、対ドル同様上値も重く、以降は84円台中心の推移 となっています。
豪州準備銀が金融政策正常化に動き始め、5月理事会では、現状実施しているコロナ禍対応の金融政策手段のうち、金融機関の調達コスト低下を目的とするターム物調達ファシリティ(TFF)の新規利用を期限の6月30日で終了することを決めました。

また、3年物イールドターゲット政策の事実上の延長要否、長期債買い入れ政策の追加要否について、次々回7月会合にて再検討することを表明しています。

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まとめ

新型コロナの変異種の拡大が懸念されている中、先進国はワクチンの接種率の上昇に伴い経済正常化への期待が見られ始めています。
そこで浮き彫りになっているのが日本の接種率の低さです。
これが顕著に出たのがドル円で、円安を進める要因の一つになっています。

いずれにしても、まだまだコロナが経済に及ぼす影響はあるとみて注視していく必要があるでしょう。

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