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FXトレードの鉄則と言いますと、誰でも知っている「損小利大」です。
駄目なポジションは早めに見切りをつけて損切をする、良いポジションは利益の拡大を狙い保有し続ける。
理屈では分かるのですが、実行するのはなかなか難しいものがあります。
マイナスになってしまったポジションも、何れ反転して利益を生み出すと、損切に躊躇していまいます。
片や、利益が出たポジションは、この後、反転して損失に転じてしまうと考えて、直ぐに決済をしてしまい、利益を伸ばせずにトレードが終わります。
今回、「プロスペクト理論」を解説し、その支配から脱却する方法を考えて行きます。

プロスペクト理論とは

プロスペクト理論は、期待効用理論をさらに進化させた理論として、1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって提唱されました。

期待効用理論とは、人間の意志は確率に加えて不確実性の高い今後予測される利益・満足度などの大きさにより決定されるとする意思決定理論です。
しかしその後、満足度よりもリスクを優先する傾向にあることなど、期待効用理論だけでは説明のつかない行動があるという課題も見つかりました。

これを補完する形で出来上がったのがプロスペクト理論です。
「プロスペクト（prospect）」は「期待、予想、見通し」といった意味になります。
プロスペクト理論では、計算上の期待値の他に心理的な要因が影響することがある、ということも加味しています。

こういった理論を裏付けたのがカーネマンの実験です。

カーネマンの実験

◆下記は実験の質問と結果

質問1は、「選択肢A」を選ぶ人の方が圧倒的に多いです。

期待値でいえば質問1も2も両者の期待値は-100万円と同額となります。

安易に考えれば、質問1で「選択肢A」を選んだ人ならば、質問2でも堅実的な「選択肢A」を選ぶだろうと推測されるのですが、しかし、質問1で「選択肢A」を選んだほぼすべての人が、質問2ではギャンブル性の高い「選択肢B」を選ぶことが実証されています。

FXにおけるプロスペクト理論の捉え方

トレードする上で特に関わってくるのが、損失回避性と感応度逓減性です。

損失回避性
目の前に利益があると、利益が手に入らないというリスクの回避を優先し、損失を目の前にすると、損失そのものを回避しようとする傾向がある

感応度逓減性
また、喜びや辛さの大きさは金額や価値に比例しない

・金額が2倍になると価値は2倍にはならず2倍弱に感じる
　2倍の金額を半分の確率で得るよりも1倍の金額を確実に得ることを特と感じる。
・損失額を2倍にしても損害の価値は2倍にはならない
　2倍の損失のリスクを半分の確率で負うことを特と感じる。

FXトレーダーの心理として、目標を建てた最大利益の追求よりも、確実に手に入れることのできる目の前の最小の利益を求める傾向があります。
そして、想定外となった損失の処理は、先送りしてしまい損失を増やしてしまう傾向が強いです。
結局、「損大利小」に陥る人が多いです。

この様に、合理的な利益を求める選択が出来ず、無意識のうちに損になる選択肢を選んでしまうことがあります。
トレーダー自身の精神力の弱さが負けに繋がっているという事では無く、人間の心理（本質）が負けに導いてしまうのです。
では、次項で「プロスペクト理論」の支配から抜け出す方法を解説します。

プロスペクト理論を克服するには

プロスペクト理論を克服するためには、期待値をプラスに出来るトレードルールの確立が必要です。
期待値をプラスにする為には、資金管理を最優先のトレードルールを決めます。
・許容損失額の設定…2%ルールなど（資金100万円の場合1回の許容損失額2万円）
・リスクリワードの設定…1：3など（リスク2万円・リターン6万円）

・必要勝率…勝率30%でも勝てる仕組み作り

トレードにロジックは必要ですが、絶対ではないです。
「サポートラインorレジスタンスラインorトレンドラインを抜けたら（反転したら）エントリー」などの基本的なルールで良いです。

この設定で、勝率を26%以上キープで期待値はプラスになり口座資金は増えていきます。
トレード機会は何度でもありますので、慌ててエントリーなどせず次のチャンスを待つことも大事です。

まとめ

人間の心理によって行動が影響されてしまう「プロスペクト理論」。
克服するには、感情ではなくトレードルールを決め、それを守ることです。
また、プロスペクト理論にのっとって、期待値を増やす資金管理を行うことで損失を減らし、トレードに対する満足感を得ることも出来ます。

心理に逆らうのではなく、うまく活用してトレードを成功に導きましょう！

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