2020年3月4日の日本時間の0時頃、アメリカの中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)から、アメリカの政策金利に当たるフェデラルファンド(FF)レートの誘導目標を、1.50〜1.75%から1.00〜1.25%にマイナス0.5%分引き下げが発表されました。
通常FRBの政策金利の決定はFOMC(連邦公開市場委員会)で行われ、3月17〜18日に定例会合が控えていましたが、今回は臨時の会合が開かれ緊急利下げに至りました。
このFFレートの引き下げの背景・FRBの姿勢、そして米ドルが関連する通貨ペアの値動きはどうなったのでしょうか。
緊急利下げの背景とFRBの姿勢
FRBがFFレートを0.25ポイントを超える幅で利下げを行ったのは、リーマンショックで世界経済が混乱した08年以来の出来事です。
昨年の3度の利下げについで、更なる利下げとなっているので、経済の下振れリスクに対して慎重な姿勢を示していることが分かります。
緊急利下げの背景
今回の緊急利下げが行われた背景には下記の要素が考えられます。
・新型コロナウイルス
・信用残高
・米大統領選挙を控えるトランプ大統領からの要請
今回の緊急利下げについて、一般的な解釈では新型コロナウイルスの感染拡大による、米国経済の鈍化への対策として行われたことが挙げられます。
しかし、その一方で、ウイルス感染拡大を原因とした金融市場の下落による「信用リスク」への対応も挙げられています。
「信用リスク」とは、これまでの景気拡大期間中に積み上がった民間部門の債務が、景気後退になることで履行が滞り、景気にさらなる悪影響を及ぼす可能性があることです。
その他、今年大統領選を控えるトランプ大統領の支持基盤が経済的な中間層であり、その層は景気への信頼からトランプ大統領を支持していることから、大統領選終了までは景気を維持したい大統領からの強い要請も利下げの1つの原因として考えられています。
FRBの利下げへの姿勢
今回の利下げについて、FRBは「全会一致」で利下げを決定しています。
今回の緊急会合及び利下げはリーマンショック直後の08年10月以来です。金融市場の更なる混乱懸念、実体経済への影響拡大による景気後退入り懸念に対して、全会一致で利下げを決定したことは、現在の経済状況に対してFedが強い危機感を示していることが分かります。
為替相場の値動き
では、実際の為替相場はどの様に動いたのでしょうか。
ここからは米ドルの取引量が多いEURUSD(ユーロ米ドル)とUSDJPY(米ドル円)の値動きを確認します。
ユーロ米ドル
緊急利下げ発表前後のユーロ米ドルの値動きは下記のようになっています。
こちらはユーロ米ドルの60分足チャートです。
利下げが発表された3月4日0時台は、およそ90pipsの米ドル安となり、市場が大きく反応していることが分かります。
しかし、それまでに利下げ示唆が行われていたことですでに米ドル売りが継続していたため、追随する市場参加者が少なく、反転米ドル買い傾向になっています。
米ドル円
緊急利下げ発表前後の米ドル円の値動きは下記のようになっています。
こちらは米ドル円の60分足チャートです。
こちらも利下げ発表直後の3月4日0時台に下落を見せるものの、追随の売りが続かず、翌日5日は直後に付けた底値圏で揉み合っています。
まとめ
この記事では、2020年3月4日にFRBから発表された緊急利下げの背景と、実際の為替相場の値動きについて紹介しました。
FRBから発表された緊急利下げにより、ユーロ米ドル・米ドル円ともに発表直後に大きくレートが動いた後、底値でもみ合う展開となりました。
しかし、どちらも90pips近くの値動きがあり、大きな利益獲得のチャンスとなっていました。
今後は、この利下げが実体経済の悪化の歯止めにどこまで効果があったかが注目されます。
各種経済指標は基本的には翌月に発表されるので、4月以降に発表される指標を見ながら、景気・為替の先行きを判断しましょう。
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