ネットやニュースでよく目にする「政策金利」。
この政策金利とはどういうものか、あらためて考えてみましょう。
また政策金利は為替相場にどのように関係しているのか知ることで今度のトレードに活かしていきましょう。
金利とは?
金利とは簡単にいうとお金の使用料です。
銀行は私たちの預金を使って、個人や企業に貸し付けを行っています。
これは銀行側からみると、私たちのお金を借りているということになります。
レンタカーなどと同じで借りている使用料(金利)を払う(私たちに)というのが金利です。
金利にも高い・低いというものがあり、個人の普通預金などはすぐに引き出されてしまい、貸し付けなどを行う為に置いておけないので金利は低く設定されています。
一方、定期預金や国債など長期間引き出せないものは比較的高めに設定されています。
政策金利
銀行は一般客の預金だけで企業などに貸し付けるお金を調達しているわけではありません。
銀行の主要な調達先は日銀(日本銀行)です。
日銀からお金を借りる時も私たちからお金を借りる時と同様に金利を払います。
これが政策金利と言われるものになります。
政策金利の決まり方
政策金利が上がれば銀行は支払う金利が高くなるので、当然銀行が個人や企業に貸し付ける際の金利も高くなります。
日銀の役割は「世の中の物価を安定的に保つこと」となっているので世の中の物価をみて決定権のある日銀が政策金利を決めています。
例えば、物価が上昇している場合は
政策金利をあげる
↓
銀行から個人や企業などのへの貸付金利があがる
↓
借入金利は高いが企業は儲かっているのでそれでも借りて設備投資などにまわす
↓
設備投資によって良い商品やサービスが生まれるので企業の商品はさらに売れる
以上のことが繰り返されます。
このような循環のことを「インフレーション」といい、よくインフレと略されて呼ばれています。
インフレになると一般的には景気が良いと判断されます。
しかし、インフレになり物価がどんどん上がり続けるといつか終わりが来た時(インフレが止まる)に経済が混乱してしまうので日銀は意図的に政策金利を下げたりもします。
政策金利と為替の関係
政策金利が上がるとその国の通貨で預金すれば金利で儲かるとされその通貨が多く買われるため、通貨の相場は上昇します。
政策金利が為替相場にどのような影響を与えるのかを実際のドル円のチャートで確認してみましょう。
2020年の3月15日に米国のFRB(米連邦制度準備理事会)は緊急のFOMC(米連邦公開市場委員会)会合を開き、政策金利を1%引き下げて0.00~0.25%に利下げしました。
これにより米国は事実上のゼロ金利となりました。
通常、利下げを行うとその国の通貨の魅力が減少するのでその通貨は売られます。
しかし、ゼロ金利の場合は地方銀行は中央銀行に預金していても金利で利益を得ることができないため、積極的に個人や企業に貸し付けを行います。
もちろん個人や企業は借り入れ金利が安いのでその間に借りておこうとします。
そのような背景もあり金利が下がったにもかかわらず、利下げ直後はドル高になりました。
しかし、その後、新型コロナウィルスの影響でドル安へと移行していきます。
一方、日本の政策金利は2016年1月からマイナス金利を導入しています。
マイナス金利の場合は、ゼロ金利と同様に銀行は中央銀行からの金利に期待できないだけでなく、むしろ支払う必要があります。
そのためさらに個人や企業にお金が流れていくことになります。
デフレ脱却の狙いもあったこの金利政策ですが、マイナス金利をもってしても物価の成長率が目標の前年比2%になかなか届かず、デフレ脱却ができていないのが現状です。
このチャートでは相場の変動は金利面ではアメリカの政策金利に影響を受けていましたが、今後日本の金利の状況が変わることがあればまたさらに相場は動くと思われます。
まとめ
一般的には政策金利が上がれば景気が良くなりその国の通貨は買われて上昇します。
しかし、今年は新型コロナウィルスの影響もあり各国の通貨はほとんど下落する形となりました。
冷えきった景気を刺激するために各国政策金利を下げてお金の流通量を増やしましたが、それでも大きな成果は得られませんでした。
それほどコロナの影響は大きかったのです。
今回のようにマイナスとなる大きな出来事があった場合は例外ですが、通常の相場では政策金利によって相場が動くことは多いです。
政策金利の発表はほぼ毎月あるので今後の推移に注目していきましょう。
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