「ハイリスクハイリターンな投資」と聞いて何をイメージしますか?
株の信用取引、先物取引、仮想通貨、外国為替証拠金取引(FX)、などと答える人が多いと思います。
これらの多くに共通しているのは、レバレッジを効かせた取引が出来る点にあります。
特に市場規模が大きく、非常に高いレバレッジを効かせた取引が出来るFXは人気があります。
レバレッジがあるから、少ない資金で大きな取引が可能となり、トレードが成功すると儲けも大きいといえます。
レバレッジは国内FXでは25倍までですが、海外FXでは1000倍、3000倍などのFX業者が存在します。
しかし、最大レバレッジは知っていても、自身はどの程度のレバレッジで取引をしているかを認識しているトレーダーは案外少ないです。
レバレッジとは?
レバレッジ(Leverage)は、「梃子」の「力点」を指します。
少ない投資額を、大きな取引額に変えてくれるのがレバレッジです。
上記画像はレバレッジ25倍を効かせて、1米ドル100円の場合に日本円4万円の証拠金で、1万ドル(100万円分=1万通貨=0.1Lot)の売買が出来る様子を表しています。
国内におけるFXのレバレッジ
1998年に、個人投資家もFX(外国為替証拠金取引)取引に参加が出来るようになり、たちまちサラリーマンや主婦の間でも最も人気のある投資方法になりました。
FX人気の上昇につれレバレッジも高くなり、100倍~600倍までものFX取り扱い業者が存在しました。
いよいよFX人気は過熱が増しましたが、そこで発生したのが2008年9月のリーマンショックです。
この急激な変動で多くの投資家が被害をうけたことにより、国内では、2009 年の「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」の施行に合わせて金融庁の主導によってレバレッジ規制が導入されます。
2010年にレバレッジ50倍(2%)までの規制が開始し、2011年8月には国内FX業者は全社25倍(4%)までと決められました。
こうして国内FXはレバレッジ最大25倍までと規制されました。
ちなみに海外FXは現在も400倍~1000倍が主流です。
レバレッジのメリット
FXをする最大のメリットはレバレッジを効かせて少ない資金で、大きな取引が出来ることです。
下記の表からも分かるように、レバレッジ効果で非常に少ない資金で大きな取引が出来ます。
◇1ドル100円の時に1万通貨(0.1Lot=100万円分)ロングエントリーに必要な証拠金
国内FX | 海外FX | |
レバレッジ | 25倍(4%) | 1000倍(0.1%) |
投資金額 | 10万円 | 10万円 |
必要証拠金 | 4万円 | 1,000円 |
証拠金維持率 | 250% | 10000% |
ロスカット率 | 100%未満 | 20%未満 |
ロスカット | 93.749円まで下落した場合に 維持率99.97%になりロスカット |
90.018円まで下落した場合に 維持率19.98%になりロスカット |
例)100万円×4%=4万円 1万通貨(0.1Lot)を保有する為には4万円が必要になります。
・4万円の運用資金で、100万円分のドルを売買できます
例)100万円×0.1%=1,000円 1万通貨(0.1Lot)を保有する為には1,000円が必要になります。
・1,000円の運用資金で、100万円分のドルを売買できます
レバレッジのデメリット
レバレッジの欠点は、レバレッジを効かせることで強制ロスカットの危険性が高くなることです。
■例…1米ドル100円
レバレッジ | 1倍(無) | 25倍 | 1000倍 |
1万通貨 0.1Lot=100万円の証拠金 |
100万円 | 4万円 | 1000円 |
1000通貨 0.01Lot=10万円の証拠金 |
10万円 | 4000円 | 100円 |
100通貨 0.001Lot=1万円の証拠金 1万円 |
1万円 | 400円 | 10円 |
10通貨 0.0001Lot=1000円の証拠金 |
1000円 | 40円 | 1円 |
1通貨 0.00001Lot=100円の証拠金 |
100円 | 4円 | 0.1円 |
◆レバレッジ1倍でレバレッジを効かせなかった場合は100万円の証拠金を預けて、ドルを1万通貨(0.1Lot)の保有が出来ます。
証拠金の維持率は100%になります。
1ドルが50円まで下落しても、含み損は-50万円になりますが、証拠金維持率は100%のままです。
極論を言いますと、レバレッジ1倍でドル円が1円になっても含み損は-99万円になりますが、証拠金維持率は100%のままで変わりません。
ドルのレートが下がるに従い必要証拠金額も下がりますので、永久にロスカットはされません。
しかし、レバレッジを利用しないFXトレードの場合は、得られる利益(リターン)も小さくなりますので、投資効率としては良くないです。
実行レバレッジの計算方法
ポジション保有時に、実行レバレッジは何倍でトレードしているのかを、知っておきましょう。
上記画像のユーロ/南アフリカランドと米ドル/南アフリカランドを例に計算してみます。
通貨ペア | 現在レート | 数量 | 円変換(ZAR/JPY) | 保有金額 |
EUR/ZAR(SELL) | 16.16669 | 1万通貨 | 7.35 | 1,188,251円 |
USD/ZAR(BUY) | 14.6440 | 1万通貨 | 7.31 | 1,070,476円 |
合計数量 | 2万通貨 | ポジション評価総額 | 2,258,727円 |
ポジション評価額=現在の交換レート×取引数量 ※決済通貨が外貨の場合は対円レートに変換します
有効証拠金=口座資金+評価損益 ※口座残高+ボーナス+損益
実効レバレッジ=ポジション評価総額÷有効証拠金
ポジション評価額 | 有効証拠金 | 実効レバレッジ |
2,258,727円 | 325,934円 | 約7倍(6.93倍) |
フルレバ取引の危険度を検証
次に、投資金額10万円、レバレッジ25倍~1000倍、ロスカット率100%未満の取引環境でどこまで下落するとロスカットされるのかを検証します。
※1ドル=100円、ロスカット水準=100%未満
レバレッジ | 25倍 | 50倍 | 500倍 | 1000倍 |
0.1Lot証拠金 | 4万円 | 2万円 | 2000円 | 1000円 |
証拠金維持率 | 250% | 500% | 5000% | 10000% |
最大保有枚数 | 0.2Lot(2万通貨) | 0.4Lot(4万通貨) | 4Lot(40万通貨) | 8Lot(80万通貨) |
証拠金維持率 | 125% | 125% | 125% | 125% |
ロスカット金額 | 98.958円 | 99.489円 | 99.949円 | 99.974円 |
証拠金維持率 | 99.99% | 99.96% | 99.55% | 99.00% |
ロスカットまでの下落幅 | -104.2pips | -51.1pips | -5.1Pips | -2.6pips |
100pips上昇時の利益 | 2万円 | 4万円 | 40万円 | 80万円 |
投資金額が同じ10万円でも、レバレッジにより1円上昇すると2万円~80万円と収益金額に差が出ますので、レバレッジの威力が分かります。
しかし、ロスカットについては、25倍のレバレッジでは-100pips下落してもロスカットされないのに対して、1000倍のフルレバ取引では僅か-2.6pipsの下落でロスカットされてしまいます。
まとめ
レバレッジは大変役に立つ仕組みですが、使い方を間違えますとロスカットへも陥りやすく危険も伴うことがお分りいただけたでしょうか?
フルレバ取引は博打的な要素が強くなり投資とは言えないかと思います。
FXで一番大事なことは資金管理に尽きますので、実行レバレッジのコントロールと証拠金維持率をしっかりと把握してトレードをお楽しみ下さい。
資金管理についてはこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
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