各国の相場はその国の情勢や経済状態に大きく影響されます。
しかし、FXは通貨ペアでトレードを行うため、ペアとする他国の状況も把握しておく必要があります。
円相場はもちろんですが、主要通貨ペアに上がりやすいドルは通貨ペアと絡んでいなくても他の通貨と連動することが多く、アメリカの経済の動きはぜひ押さえておきたいところです。
特に今年注目されているのは米大統領に新しく就任したバイデン氏の手腕です。
1月のドル円の動きとアメリカの影響
1月のドル円は103円台前半で始まり、下落後また上昇しています。
始めの下落は、日本の影響が大きいです。
日本の菅首相が1都3県における緊急事態宣言を発令する方向で検討しているとの報道を受け、102円台半ばに一旦下がりました。
しかしその後の上昇は主にアメリカの影響と考えられています。
5日のジョージア州の上院議員選挙で民主党が勝利。
6日の選挙人投票の開票によるバイデン次期大統領の確定を受け、新政権による経済対策への期待から米長期金利が上昇します。
金利が上がったことでドル円も102円台から反転し、一時104円台まで上昇しました。
この102円台から104円台への反転過程のもととなったアメリカの経済政策とその影響を詳しく見てみましょう。
アメリカの金融政策と今後の懸念材料
FRBの金融スタンス
1月は金融政策について、FRB(米連邦準備制度理事会)の長期の緩和姿勢が改めて確認されました。
上旬の金利上昇は、新政権による経済対策への期待だけでなく複数の地区連銀総裁が量的緩和の縮小(テーパリング)に言及し始めたことも背景にありました。
マーケットでは、ワクチンの普及と経済対策によって景気が回復してくれば、FRBが年内に資産購入を縮小してくるのではないかとの観測が浮上し、金利上昇の要因のひとつとなりました。
しかし、14日のオンライン討議でパウエル議長は、「今は議論する時ではない」と明確に否定し、緩和の出口が遠いことを改めて示唆しました。
それは、バイデン政権下でもFRBの金融スタンスは長期の緩和姿勢が続くということをマーケットに改めて知らしめた形になりました。
利回りの変化
パウエル氏の発言後に、下がったのが米10年債利回りです。
昨年4月以降1%以内で推移していた利回りは、1%台をなんとかキープしている状況となりました。
円高にややブレーキがかっている背景はこの利回りの状況とも考えられています。
経済回復期待
経済対策とワクチン普及による経済回復期待により、1月上旬には株高・金利高・ドル高が発生しました。
今後、経済回復の期待が後退するようなことがあれば、先程の円高へのブレーキが外れる可能性も考えられます。
特に、新政権が掲げている1.9兆ドルの経済対策について、共和党との交渉が難航し規模縮小の動きが出れば、1月にドルを支えた要因が剥落するため警戒する必要があります。
弾劾裁判
トランプ前大統領の弾劾裁判については、マーケットでは今のところ無風ですが、弾劾裁判について共和党は分断を招くだけで「融和」に反すると反発しています。一方で、民主党内では左派を中心にトランプ弾劾の意見が根強い状況となっています。
弾劾裁判の議論が経済対策の交渉の足かせになり、規模や実施時期に影響しないかも懸念材料となっています。
コロナ対策
バイデン大統領はコロナ対策が一番の課題と明言しており、100日間(4月末)で1億回分の接種を目指すとしていますが、ワクチンの普及スピードが予定よりかなり遅れている状況となっています。
米国の感染者は2,500万人を超え、死者は41万人近くとなっています。この感染スピードは米国民が2秒に1人感染し、30秒に1人死亡している状況とのことです。
このままワクチン普及が遅々として進まず、感染抑制ができなければ、景気回復への期待が後退することも予想されます。
ドル円の現在の動きは、こうした前途多難な米新政権の様子を観察しているような動きかもしれません。
まとめ
米国はバイデン新大統領の就任と共に新しい時代が始まりました。
就任による経済の期待などからドルは上昇しましたが、ワクチンの遅れやトランプ前大統領の弾劾裁判など、問題は依然としてあります。
バイデン氏は、新型コロナウィルスの対応に追われながらも自らの力を示していかなければならず、世界各国からもその手腕は注目されています。
今後の政策によって影響を受けるのはドルをペアとする通貨だけはありません。
1月の各国の相場(詳しくは「トップの変化による新しい外交にも注目!2021年1月の世界各国の為替相場」参照)でも分かるように、ドルの動きはその他の通貨と連動することも多いです。
ドル円でのトレードを行う人はもちろん、ドル以外の通貨ペアを扱う人も、アメリカのこれからの動きは欠かさずチェックする必要がありますね。
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